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【私立萌えもん学園 生徒名簿一覧より抜粋】 ver1.15 3年生 ↓表を作成予定 現在工事中 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 カイオーガ 3 A 水泳部部長 ー ー 英語・古典 理科・美術 傘常備、お嬢様の三竦み キングドラ 3 A 女子バレー部(マネ) 黒魔術研究会 理科 音楽 弟:シードラ シャワーズ 3 A 生徒会庶務 図書委員 数学・英語・国語 情報・機械系統 双子のイーブイ ソルロック 3 A 元バレー部員、サボりがち、足に後遺症 ドクゲイル 3 A 数学・理科 体育 アゲハ家分家 ハクリュー 3 A 剣道部部長 クラス委員長 理系全般 ほぼ無し(若干文系) 全国レベルの剣道の腕前 ハピナス 3 A 生徒会副会長 体育 重度の銃器マニア アゲハント 3 B 剣道(マネ) 国語 英語 アゲハ家本家 サンダー 3 B 生徒会会長 ニコ中、度々料理部に乱入 ペルシアン 3 B 生徒会会計 女子バレー部 数学・英語・体育 古典 お嬢様の三竦み マンキー 3 B 蹴撃部 国語 英語 レジスタンズ ユキメノコ 3 B 茶道部 古典・日本史 理系科目・実技 ☆YAMATONADESHIKO☆ ボーマンダ 3 C 女子バレー部 体育 ミロカロス 3 C 環境整備委員 数学・物理 水泳部へ勧誘? ドードリオ 3 C チア部主将 妹・ドードー グラードン 3 D 女子バレー部部長 体育 音楽・美術・家庭科 自然愛護心○ ヘルガー 3 D 保健委員 体育・音楽 数学・理科 妹:デルビル、喧嘩三昧、教師嫌い バンギラス 3 D 女子バレー部 クラス副委員長 数学 ネンドール 3 E 女子バレー部 裁縫部 保健委員 国語・生物・化学 数学・英語 ペルシアンの親友 マニューラ 3 E 風紀委員 テニス部 英語 お嬢様の三竦み ラティアス 3 E カードゲーム同好会 体育 兄:ラティオス、瓜二つ スターミー 3 生徒会庶務 文芸部 日本史・世界史 物理 口癖:やっちゃった(うっかり (ポニータ) 3 生徒会書記 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 エアームド 3 A 国語・情報 英語 助っ人キャラ サワムラー 3 B 蹴撃部 世界史 数学 利他主義、音楽性○ ランターン 3 B 料理部部長 ニコ中 ワンリキー 3 B 蹴撃部 体育以外の教科 レジスタンズ ルナトーン 3 C ほぼ全教科 年齢不詳 クレセリア 3 D カードゲーム同好会 女尊男卑、極度の胸&ゲームマニア、どう見ても女にしかry モジャンボ 3 D 野球部主将 ー ー 理科・体育 国語・家庭科 ナンパ師・あだ名『ジャンボ隊長』 ケンタロス 3 陸上部 体育 英語 レジスタンズ ◇未設定 ♀ ♂ 2年生 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 カポエラー 2 A 蹴撃部 国語 国語以外 カラサリス 2 A 体育 アゲハ家 ニドリーナ 2 A 生徒会次期書記 家事○、ニドリーノと幼馴染 マユルド 2 A 体育 アゲハ家 ズバット 2 B 生徒会次期副会長 図書委員 国語・美術 英語 美術部にスカウト チリーン 2 B 図書委員 国語 体育 由緒正しき和の家系? フシギバナ 2 B 女子バレー部 英語・体育 数学 ライチュウ・ロコンと同居 ホウオウ 2 B 環境整備委員 国語・日本史・政治経済 体育 実家は神社 カモネギ 2 C 生徒会次期会長 剣道部 運動○、勉強× モンジャラ 2 C 図書委員 国語・理科 体育 植物愛護心○ ワタッコ 2 C バドミントン部 国語 英語 三つ子草娘 サンドパン 2 C 文系科目 爪の扱いに定評がある ポポッコ 2 D バスケ部 英語 数学 三つ子草娘 ヤジロン 2 D 裁縫部 美化委員 国語・生物・化学 体育 はうぁっ!? ヤンヤンマ 2 D 風紀委員 音楽 体育 メガヤンマ財閥 リザードン 2 D 体育 病弱 ギラティナ 2 E クラス委員長 社会 龍霊神社の幽霊巫女 ※1 コイル 2 E 生徒会次期庶務 ハネッコ 2 E バレー部 数学 国語 三つ子草娘 プラスル 2 E チア部 放送委員 数学 国語 勝利の女神・+ ポリゴンZ 2 E 生徒会次期会計 理系全般 一般教養 電波を受信可能、PC系に強い マイナン 2 E チア部 放送委員 数学 国語 勝利の女神・- 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 シードラ 2 A クラス委員長 理科 体育 姉:キングドラ、妹:タッツー ダイノーズ 2 A 美術部 国語、社会 数学、理科 ポリゴンZに鬼絡みされる ニドリーノ 2 A 理系科目 社会 文科系部にたまに顔を出す アーボ 2 B カードゲーム同好会 図書委員 英語・理科 音楽・美術・体育 残念な程のニコ厨 ケーシィ 2 B サッカー部 数学 国語 ツッコミ担当 ザングース 2 B 剣道 歴史 騎士道精神、レジスタンズ プクリン 2 B カードゲーム同好会 宝塚スキー ヘラクロス 2 B バスケ部 図書委員 理科物理 美術 ゲンガー 2 C 国語・体育 英語・数学・日本史 悪役トリオ サンダース 2 C サッカー 剣道 国語・社会・体育 得意科目以外 ハクリューと幼馴染 ストライク 2 C 剣道部次期主将候補 英語 カモネギと幼馴染 カビゴン 2 D 料理部 家庭科 体育 2留らしい、妹にゴンベ グラエナ 2 D 風紀委員 ヤンヤンマの護衛 ◇組未設定 ♀ ♂ 1年生 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 オオタチ 1 A 国語・英語 音楽 ツンデレ疑惑 ケムッソ 1 A 英語 数学 アゲハ家 ドードー 1 A 演劇部 数学 姉・ドードリオ ナマケロ 1 A 科学 レジスタンズ ポッチャマ 1 A 水泳部 実験・実技 英語 結論:モーゼ ユキワラシ 1 A 飼育委員 家庭科 体育 一人称「ユキ」 サイホーン 1 B 剣道部 クラス委員長 剣術修練者 ドククラゲ 1 B 裁縫部 クラス書記 サレナ ネイティオ 1 B 風紀委員 美術部 体育 とぅー パウワウ 1 B 保健委員 保健・体育 英語・地理・公民 運動神経の良さを隠している ピカチュウ 1 B 裁縫部 HR委員 ドククラゲの着せ替え人形兼恋人 マルマイン 1 B 風紀委員 陸上部 体育 理科 早口の長口上 ライチュウ 1 B 陸上部 ぬいぐるみ好き・勉強嫌い ロコン 1 B カードゲーム同好会 社会(日本史) ライチュウと住んでる グレイシア 1 C 図書委員 リーフィアと対称的な能力 ゴンベ 1 C 音楽・美術 体育 生徒会を手伝ったり デルビル 1 C 数学・理科・家庭科・美術 体育 ハピナスと交流あり ムウマージ 1 C 黒魔術研究会 英語 外国語以外 一人称「ムゥ」、自称魔法使い見習い ヨノワール 1 C ハッピーエンド好み リーフィア 1 C 保健委員 体育・家庭科 ←特に裁縫 エレブー 1 D サッカー部(マネ) 数学 国語 凡才?、生徒会を目指す メノクラゲ 1 D 演劇部(マネ) 飼育委員 天才の蕾 ルージュラ 1 D 演劇部 英会話 英語・国語 帰国子女、一留 エネコ 1 E 体育・美術・音楽・英語 数学・理科・古典・歴史 悪役トリオ オニスズメ 1 E カードゲーム同好会 体育 国語 姉:オニドリル ミニリュウ 1 E 剣道 理科 体育 姉:ハクリュー・カイリュー 番号 名称 学年 クラス 所属1 所属2 所属3 得意科目 苦手科目 備考 コイキング 1 A 国語 数学 レジスタンズ セレビィ 1 A 理科 英語 NG:小さい系統の単語 ヨルノズク 1 B 孤立主義・人とは広く浅く オドシシ 1 C 蹴撃部 みんなのアイドル☆ ミカルゲ 1 D 黒魔術研究会 図書委員 文系 理系 どS カゲボウズ 1 E 数学・理科 国語・家庭科 悪役トリオ テッポウオ 1 射撃部 地雷スタンパー ヤミカラス 1 射撃部 数学 叔父:ドンカラス ♀ ♂ 教師名簿一覧表 番号 名称 担任 所属1 所属2 所属3 担当科目1 担当科目2 担当科目3 備考 ♀ ピジョット 3B 生徒会監査 国語 生徒の秘蔵写真を大量所持、No.1 ♀ ラプラス 蹴撃部顧問 数学 格闘技に興奮を覚える、オカルト狂信者 ♂ ウソッキー 2C 剣道部顧問 カードゲーム同好会 レイヴン・リンクス、面倒嫌い、ウソッキョン ♀ ウツボット 2A 科学部顧問 化学 生物 大食い、虫好き、エロ担当?、結論:食べる人 ♀ キュウコン カードゲーム同好会顧問 美術 虫嫌い、赤色好き、白い手袋、No.2 キノガッサ 校長 旧軍人、生徒の完璧な把握、胞子注意 ドサイドン 教頭 旧軍人、堅物 ♂ ドンカラス 射撃部顧問 物理 化学 射撃の名手 ♀ オニゴーリ 料理部顧問 世界史 生徒会と面識あり ♀ フーディン 3A 政治経済 両刀 ♀ アブソル 保健 保健 アンチ風紀! ♂ ゴローニャ 美術部顧問 英語 剛力、蝶☆鈍感 ♀ ハリテヤマ 柔道部顧問 体育 真面目、予期せぬ不幸、隠れきょぬー、No.3 ♀ カイリュー 3D 女子バレー部顧問 物理 数学 妹:ハクリュー・ミニリュウ、酒好き ? スイクン 地学 失踪癖 ♀ トロピウス 1B 裁縫部顧問 倫理 あらあらうふふ ? メタモン 生活指導担当 生物 バシャーモ&教頭「……」 ♂ バシャーモ 1A 野球部顧問 体育 保健 小麦色のイケメン教師(独身) ♀ ゴウカザル 空手部顧問 体育 保健 特技:孫悟空張りの棒術 ♂ ラティオス 水泳部顧問 道徳 童顔、甘党 ♀ チルタリス 1E 合唱部顧問 音楽 歩くα派 ♀ フライゴン 2B 飼育委員担当 英語 ジョウト弁使い ♀ オニドリル 地理 学園OG ♂ バクフーン 吹奏楽部顧問 音楽 ♂ ハッサム 1C 風紀委員担当 古典 ♀ パラセクト(古典) モルフォン(生物) ♂ 【担当教科一覧表】 めちゃめちゃ割り振り適当です。指摘要望受け付けます; 1A 1B 1C 1D 1E 2A 2B 2C 2D 2E 3A 3B 3C 3D 3E クラス担任 バシャーモ トロピウス ハッサム チルタリス ウツボット フライゴン ウソッキー フーディン ピジョット カイリュー 国語(現代文) ピジョット ピジョット ピジョット ピジョット ピジョット 国語(古典) 数学 カイリュー カイリュー カイリュー ラプラス ラプラス ラプラス ラプラス ラプラス カイリュー カイリュー 英語 理科(物理学) ドンカラス ドンカラス ドンカラス ドンカラス ドンカラス 理科(生物学) - - - - - メタモン メタモン メタモン メタモン メタモン ウツボット ウツボット ウツボット ウツボット ウツボット 理科(化学) メタモン メタモン メタモン メタモン メタモン ウツボット ウツボット ウツボット ウツボット ウツボット ドンカラス ドンカラス ドンカラス ドンカラス ドンカラス 理科(地学) - - - - - - - - - - スイクン スイクン スイクン スイクン スイクン 社会(地理) オニドリル オニドリル オニドリル オニドリル オニドリル 社会(日本史) ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー ウソッキー 社会(世界史) - - - - - オニゴーリ オニゴーリ オニゴーリ オニゴーリ オニゴーリ 社会(政治経済) - - - - - フーディン フーディン フーディン フーディン フーディン 社会(倫理) - - - - - - - - - - トロピウス トロピウス トロピウス トロピウス トロピウス 体育(球技) 体育(陸上) 体育(武術) 音楽 チルタリス チルタリス チルタリス チルタリス バクフーン バクフーン バクフーン バクフーン バクフーン バクフーン - - - - - 美術 キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン キュウコン 技術(情報) 家庭科 【部活動一覧】 こっちも今後まとめて行きます。 野球部 陸上競技部 水泳部 剣道部 女子バレーボール部 バスケットボール部 バドミントン部 銃撃部 蹴撃部 空手部 チアリーディング部 料理部 吹奏楽部 合唱部 軽音楽部 演劇部 茶道部 裁縫部 美術部 科学部 黒魔術研究会 カードゲーム同好会 ※1 性別不詳 【補足】 ぺるが現時点で把握している、あるいはSSロダに既に設定が上がっているものから抜粋。抜けていたら随時報告をお願いします 学年とクラスだけで現在判明しているものをソート。学年・クラスの設定がない(あるいは見落とした)モノに関しては未設定。 場合によっては、総監督、作者である39氏が既に設定しているかもしれません。 【更新履歴】 Ver1.00 公開 Ver1.10 更新履歴を設置 08/01/23 Ver1.11 以下の生徒を追加 ヘルガー、マンキー、ワンリキー、ホウオウ、デルビル、ネイティオ、マルマイン、ロコン、ライチュウ、 メノクラゲ、ゴンベ、ルージュラ、エレブー、ムウマージ、ヨルノズク、コイキング 名称:カビゴンの平仮名を修正、ヨノワールをC組に、他一年生の組を設定、他細部更新 08/01/24 Ver1.12 以下の生徒を追加。 ネンドール、グラードン、フシギバナ、ケーシィ、ゲンガー、ドククラゲ、ピカチュウ、サイホーン、エネコ、リーフィア ヤミカラス、カゲボウズ、カイリュー、スイクン、トロピウス 教科一覧を追加・クラス担任を整理、他細部更新 08/01/25 Ver1.13 以下の生徒を追加。 ボーマンダ、バンギラス、ヤジロン、ドードー、グレイシア、ミニリュウ、 パウワウ、テッポウオ、メタモン、バシャーモ、ゴウカザル クラス不問の生徒一部を設定、教科担当教師表を試験的に追加、ほか細部更新 08/01/28 Ver1.14 以下の生徒を追加。 ラティアス、アゲハント、ドクゲイル、カラサリス、マユルド、ヤンヤンマ、ワタッコ、ポポッコ、ハネッコ、 シードラ、グラエナ、ケムッソ、オドシシ、ラティオス、チルタリス、フライゴン 指摘箇所を修正、未設定クラスの生徒を一部クラス配置、クラス別にソート、他細部更新 08/02/03 Ver1.15 以下の生徒を追加。 キングドラ、ミロカロス、オニスズメ、バクフーン、オニドリル 指摘箇所を修正、一部の生徒をクラス配置、ほか細部更新 08/02/09 Ver1.16 以下の生徒を追加。 ドードリオ、プラスル、マイナン、ギラティナ、ミカルゲ 指摘箇所を修正、一部の生徒をクラス配置、部活動項目を設立、他細部更新 08/02/22
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ストーム7氏投稿作品 今日のトキワジム挑戦者は - 人です。 昨日の挑戦者は - 名です。 これまで - 人の挑戦者がトキワジムに訪れました。 そろそろ創作再開しようかと考え、新シリーズ構想中。 『Scarlet Fighter, Crimson Revenger』 一人のマスターと6人(+不特定多数)の萌えもん達の話。 通称ゴーグルシリーズ。 『お風呂場ぱにっく!』前編 中編 後編 『ゆく年くる年』 『たまにはオシャレもしてみない?』 『炎の伝説』前編 後編 『ハジマリノヒ』 『出会い』前編 後編 『節分の日に』 『Rast Revenge』 プロローグ/1/2/3/4/5/6/7/8/エピローグ 『リストラ大騒動!』 『風邪といえば林檎』 『Final Dreamer』プロローグ/1 『コスプレ祭投稿作品』 『みぃの奇妙な冒険 第1部? 異次元編』 上の作品から3年後。新たな主人公と仲間たちの物語。 前作のキャラも大暴れする予定です。 第一話 第二話 番外編・フライゴンの変身 1 2 番外編・Before Story 『旅は紅茶の香りとともに』 さらにみぃ編から1年くらい後? 3人目の主人公が喫茶店の店員を求めて世界を走り回る物語。 『ティーカップ、一杯目』 『ソーサー、二皿目』前編・後編 『萌えもん学園・エアームド編?』 企画モノ『萌えもん学園』内での作品。 たたかう情報通の学生エアームドの愛と友情と熱血な物語。嘘ですごめんなさい。 『放課後、一緒に帰ろう』 『今は、この距離が心地よくて』 『メイドin生徒会』 『情報通のバレンタインデー』 『その他小ネタ・記念ss集』 細かいところで作った小ネタなどを随時載せていきます。 昔あげたものもそのうちサルベージ予定です。 『クリスマスss』 本ページ7777Hit記念ss 1 2 3 4 5 6 7 200のひと氏・曹長氏・シーク氏との合作『2008年忘年会』 感想等にぜひお使い下さい。 test -- 名無しさん (2007-12-30 21 12 48) お風呂場パニック 前篇 ×気にぶつかる→○木にぶつかる -- sitora (2008-03-10 16 32 14) テンポ良く読めました、 文章に違和感がないので読みやすかったです(感想入れ忘れてました、スイマセン) -- sitora (2008-03-10 20 56 46) >たまにはオシャレも〜 ちょwwwヤwwマwwトwwwww -- クレしん疾風伝 (2008-05-20 22 07 02) シャワーズの可愛さにやられた私がいるw ゴーグルシリーズ最高ですw -- Type-nanashi (2008-06-27 23 15 01) リストラ大騒動が一番気に入りました。 これからも頑張ってください。 -- 774 (2008-10-13 15 53 19) 閲覧者6000人突破おめでとうございます(私が踏みました) これからも面白い作品を作ってください。応援してます -- 200のひと (2008-11-11 09 06 56) 7777達成おめー -- 名無しさん (2009-01-26 15 31 06) 20000hitおめでとうございます。 応援してます。頑張ってくださいっ -- 名無しさん (2010-08-08 21 47 30) 名前 コメント
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灯火山の頂上、温泉の地熱により熱風が充満する中。 渦巻く炎の嵐の中に主人公達はいた。 「我、眠りを妨げる者、許さじ」 嵐の中心には1匹の萌えもん。赤き炎を見に包みしその華麗な姿の彼女は彼らに対し、怒りを見せていた。 「……っ!」 「マスター……! 怖いっ!」 「ど、どうするの御主人様……!」 主人の足にしがみつくピッピとプリン。 「いいか、一箇所にいると一気にやられる可能性がある! まずはバラバラになれ!!」 『了解!』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― コトの始まりはピッピの持ちこんだ情報だった。 「ねぇマスター! 聞いて聞いて!!」 「ん?どうしたピッピ?」 「あのね、月の石があるって噂を聞いたの!!」 「月の石? ほぉ……で、何処にあるって?」 「えっと、ともしびやまのふもとにあるって!」 「灯火山……1の島か。なるほど……行ってみるか。」 こうして、一行は1の島へとやってきたわけだ。 灯火山から吹いてくる暖かい風がこの島を包み、年中温暖な気候である1の島。灯火温泉が有名な他、多くの萌えもんの生息場所でもある。 「いい所だなぁ。」 「日向ぼっこするには最適な所……ね。」 「にゅ、空気のいい場所なんだな~」 「なんだなぁ~」 「こういう所に来ると、走り回っちゃいたくなるなぁ!」 「むにゅう、気持ちよくて何だか眠たくなってきたの……」 「ねぇねぇ! 早く月の石探しに行こうよ!!」 「まぁまぁ、またとない機会なんだから温泉にでも入ってゆっくりしていかない?♪」 港から出て辺りの景色を見渡す主人。 腕を上に伸ばし伸びをするサンドパン。 空を見上げて無心になるヤドラン。 そわそわし放しのガーディ。 うとうとと頭を垂れそうなプリン。 早く見つけたいがために主人のズボンを引っ張るピッピ。 そしてマイペースなスピアー。 「そうだな、ここ最近連戦だったし、たまには観光気分で探すのもいいな。」 「え~! 早くしないとなくなっちゃうかもっ!!」 「……わかったわかった。それじゃあまず、月の石を手に入れてから観光するか。」 「わ~い!」 というわけで早速灯火山の麓にやってきた一行。 ピッピの話通りに山筋のなだらかな道を進む。 「あ、あった!!」 ピッピの指差す方に月の石はあった。 しかしちょっと崖から離れているので人間が行ける様なところではない。 「スピアー、取ってきてくれないか?」 「了解♪」 スピアーはある場所へ飛んでいき、楽々と月の石を持ち帰って来た。 「よし、これで2人とも進化することが出来るぞ。」 「わ~い!早く進化したいなぁ!!」 「私も私も!!」 キラキラ目を光らせる2人。 「まだまだ、進化したらそれ以上わざ覚えなくなっちゃうだろ? だから、その時までおあずけ。」 『え~!』 「早く進化できるように頑張らなくちゃいけないって事よ♪」 「そうそう、期待してるんだから。」 「……わかった!私、頑張る!!」 「アタシだって頑張るもん!!」 「それじゃ、用も終わったし温泉行くか。」 山から少し離れた所にある温泉は人間が使用する他、野生の萌えもんも入りに来るという有名所である。 一行が来た時はちょうど利用者が多い時間の合間だったのか、野生の萌えもんがちらほら見える程度でほぼ貸しきり状態だった。 「わ~い、一番乗り~!」 「あぁっ!私が一番になる~!!」 真っ先に温泉へと向かうピッピとプリン。 「おいおい、行くのはいいけど服はちゃんと畳んでおけよな……」 天然の温泉は絶好の癒しの場所であった。そのままの地形を保つために何層にも分かれており、小さい萌えもんにも配慮して底の浅い温泉もある。 野生の萌えもん達は最初警戒心を強めたが、襲ってこないとわかると気安く場所を開けた。 「むぅ~……」 ピッピがジロッとスピアーを見る。 「ん?どうしたの?」 「ないすばでーが羨ましいっ!!」 「つるーんでぺたーんってしてるから?」 プリンがからかう。 「つるぺたってゆーな! プリンだってつるぺたのくせに~!!」 「進化したらきっと大きくなるもーん♪」 「それならアタシだって!進化したらプリン以上になるんだからねっ!!」 「私の方が上っ!」 バシャンと水しぶきがあがる。 「わぁっ! やったなぁ~!! えいっ!!」 「ひゃっ! この~!!」 「ふふ、全く騒々しいんだから♪」 喧嘩しているものの随分と楽しそうである。 主人はそんな微笑ましい光景を目にしながら、ピッピ達とは違う場所の温泉に浸かっていた。 スピアーは所謂2人の保護者みたいな感じである。 ガーディはあっちの方で野生のポニータと何か話している。 タイプ一致なのか、それとも相手がポニータなのか、馬が合っているようだ。 ヤドランは……さっきから姿が見えない。 そしてサンドパンは、主人の横に寄り添って座っていた。 「どうだサンドパン? 日光浴と温泉、どっちが気持ちいい?」 「……どっちも。」 「そうか、ならよかった。」 主人が横を見ると、サンドパンは背丈1mの体で主人に寄りかかった。 「ねぇマスター。」 「ん?」 「私のこと、どう思ってる……?」 「どうって……俺の大切な仲間だ。」 「……それだけ?」 「それだけって……あぁ、じゃあ逆に聞こう。俺のこと、どう思ってる?」 「……! それは……私のこと大切にしてくれるマスターだと……」 サンドパンはもじもじし始めた。 やっぱりな、と主人は感じた。 「ほれ。」 「ひゃっ!?」 マスターはサンドパンの体を軽々と掴むと膝上に乗せた。 「な、何を……」 「髪、洗ってやろうか。」 「……あ……うん。よろしくお願い……」 主人が髪を流す。サンドパンは恥ずかしそうに俯きながら、主人が髪の毛を洗いやすくするようにする。 「……よし、終わr……!?」 突然、主人の股を水圧が襲った。 「にょ、変態ますたー! このすーぱーさぶまりん3号で撃退してやるにょ!」 「してやる~」 水面からヤドランが顔を見せた。なるほど、さっきまで姿が見えなかったのは潜っていたからか。 「こら! 水鉄砲は撃っちゃいけない所もあるんだ! 後でおしおきするぞ!!」 「わ~! ますたーの反撃だ~! にげるぞ~!」 「にげるぞ~」 「……全く。」 再び潜ってしまったヤドランを見て主人は溜め息をついた。 「……くすくす。」 「あ、笑ったな?」 「だって……面白いから……」 「笑った奴にはこうしてやる!」 「ひゃん! やめて……腰突かないで……そこ弱い……」 と、その時だった。 ドーンという大きな爆発と共に付近が揺れた。 「な、何だ!?」 明らかに何かの爆発する音だった。続けて2,3回、またも爆発音が響く。 「この音……」 「灯火山の方からか……! 行くぞ皆!」 一行は温泉から出ると、すぐさま灯火山へと向かった。 後編へ
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紫陽花クラス日誌。 6月6日 当番:アメタマ 今日も雨が降っていた。 クラスの金魚鉢にはコケが貼り付いて取れなくなってしまっていた。 最悪。 新しい金魚鉢を早急に買うことをオススメします先生。 今日のケガ人はふたり(百日紅クラスの奴とケンカしたカノコとガーディ)。 それ以外は異常なし。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 紫陽花クラス日誌。 6月7日 当番:ヒツギ 今日で連続一週間雨でした。 湿気も酷く、アメタマ殿の机の中から緑色になったパンが 発掘されたくらいにジメジメしていました。 今日読んだ本には、古代中国には 「真っ暗な部屋に閉じ込めて拘束し、十数分に一回のペースで 水滴を額に落とし続ける」という拷問があったと書いてありました。 水滴を額に落とすだけで、本当に拷問になるかどうかはいささか 理解できませんでしたが、その拷問を一時間ほど行われた人は 「額に鉄球を落とされている、痛い」と泣き叫び許しを請うほど だったそうです。 今日のケガ人はなし。 (若干顔色の悪そうな人はひとりいました) +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 百日紅クラス日誌。 6月8日 当番:ニドラン きょうはひさしぶりの晴れ! お日様がとても気持ちよかったです。 でもカタツムリは勘弁。気持ちわるかったぜ。 ツムギのやろうにまたボコられそうになって逃げていたら、 フシギソウが地面で寝てたので保健室につれていった。 夜更かししていたのか、よく寝ていた。 今日一番悪かった生徒:ノコッチ お昼のプリンを、だまって他の奴のぶんまで食べてました。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 金木犀クラス日誌。 6月9日 当番:ニャース 昨日に続いて今日も晴れました。 ですが空気がムシムシしていて凄く辛かったです。 自慢のヒゲもしおれてしまって、何だか嫌な一日でした。 紫陽花クラスの男子と百日紅クラスの男子がケンカしてましたが、 またディアルガ先生が「ざ・わーるど」をしてくれた おかげで無事に解決されました。 …ところで、昨日の夜なんですが、ふらふらと外に出て行く誰かの 姿を見たような気がしました。怖かったです。 (寝ぼけていたので記憶があいまいですが…) 先生、ぜひ正体を突き止めてください。安心してお手洗いにいけないです。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 紫陽花クラス日誌。 6月10日 当番:カノコ あーめあーめふーれ、じゃなくてふるなーーーーーっっ!!! じゃんじゃんざかざか降りやがって! うっとおしいったらありゃしないぜ! またアメタマの机の中からカビたパンが出てきたし! そういえば、サイカチお姉はまだ部屋から出てこないです。 食堂のおばちゃんが言うには、みんながこない時間にこっそり出てきて ごはんは食べているらしいけど…。 しんぱいだーーー 今日のケガ人、フシギんが授業中にぶったおれた以外は、なし! +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 白詰草クラス日誌。 6月11日 当番:ムウマ ニョロモに言わせると、また雨が降る日が続くらしい。 図書室の本がふやけるから、あんまり降らないでほしいです。 そういえば、最近夜中に学校を徘徊する影が頻繁に目撃されているようです。 噂では新種の幽霊萌えもんだとか言われているけれど… 早く真相が判明されることを願います。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 金木犀クラス日誌。 6月12日 当番:ヒトカゲ 「……あ゛ーーーーーーーー、日誌ったって何書けばいいんだよ…頭痛いぜ…」 紫陽花クラスのふたつ向こう側にある、金木犀クラスの教室でヒトカゲが 自慢のしっぽの火を揺らめかせ、木製の椅子に座ったまま唸る。 授業が終わった放課後なので教室内には彼以外誰も居ず、しーんと静まり返っている。 どうやら本気で日誌に何と書けばいいのか分からないらしく、自身の生命力を現す 炎の勢いが蝋燭のようにしぼんでしまっていた。 ……ごてん! 金木犀クラスの教室の前、廊下からドアごしにも分かるような音が聞こえてきた。 それは、何かがぶつかったような音。 慌ててヒトカゲが教室の戸を開け、廊下に飛び出すと… そこには大きなツボミがいっこ。 いや違う。 紫陽花クラスのフシギソウが廊下のど真ん中でうつぶせに倒れていた。 「うおおっ!? お、おい、大丈夫かお前!?」 「…んー…んあー……はっ! あ、あぁうん、平気平気! ちょっとクラっときただけだから…」 「充分やばいだろそれ! 何なら保健室まで連れて行ってやるぞ!?」 「へ、平気だよぅ……ありがと、心配してくれて…それじゃあねー…」 心なしか頭のツボミをしおれさせつつ、フシギソウはその場からフラフラと おぼつかない足取りで去っていった。 ヒトカゲは思った。 ああ、日誌のネタが決まったな と。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ この全寮制の小学校の近くには、マンションだとか、一軒家だとか コンビニだとかスーパーだとか、他の建物らしきものは一切建っていない。 周りは木や草に囲まれ、静かに水がせせらぐ川や湖がある のどかな田舎のようなところだ。 故に、夜になれば星がきらめき、月は煌々と輝く。 今宵は満月。 月明かりが暗闇を、やさしく暴きだしていた。 ふらふら、ふらふらと、夢遊病者のようなおぼつかない足取りで 月がやさしく暴き出した道を歩む影がひとつ。 影は、天に向かって真っ直ぐに伸びた、背の高い植物がたくさん生えている 花壇の前で止まった。 ぐらつきながらも影は花壇の前にしゃがみ、植物…おおきくツボミを膨らませた ヒマワリたちに手を当てて、動きを止めた。 ……ふわり…… ……ふわり…… 影が動きを止めて数十秒。 薄緑色の球状の光が、ヒマワリたちの周りを浮遊しはじめた。 その光は、ともすればホタルの光と間違えてしまいそうなくらい小さく 儚げな光だった。 しかし、小さな薄緑色の光がヒマワリたちの中に吸い込まれていくと、 虫にやられてくたびれていたヒマワリが、心なしかしゃっきりとしていくように見える。 大きなツボミを宿した影から、儚く小さな光が放たれる。 そしてそれを、ヒマワリたちが受け止める。 その度に、ヒマワリたちは生命力を取り戻していく。 しかし、ツボミ付きの影のほうは…… 「……あ、う、わ……!?」 ぐらりと大きく体が揺れる。 もはや、しゃがんでいる体を支えていることさえ出来なくなった 影…フシギソウが、地面に倒れそうになる。 しかし、その前に彼女の肩が何者かに支えられたお陰で、転倒の危機はまぬがれた。 「もう…もうやめてよフシギソウ…! もういいよ、もういいよ…もう、いいんだよぉ……!!」 「…へ、へへ…やっぱり、サっちゃんにはバレてたか…」 「当たり前でしょ…? 私、閉じこもるようになってからずっと… フシギソウがどれぐらい頑張ってたか、窓からずっと見てたもん… アブラムシを追い払う為に、花を咲かせるために…昼も夜も、 雨の日も、ずっとずっと頑張っていたの…」 バツが悪そうな笑みを、フシギソウがサイカチに向ける。 「…ギガドレインを、応用して…私の体力を、ヒマワリにあげて… 『弱った花には虫がつく』…セキが言った、あの言葉で、思いついた方法…」 未だ蕾のまま、咲く気配すら見せないヒマワリの群れに すがるような視線を送るものの。 ヒマワリは、輝く月の光に照らされ、静かに佇むだけ。 「私の体力を、ヒマワリにあげて…ヒマワリに元気になってもらって、それで アブラムシたちを追い払う……これなら、殺虫剤なんて物騒なものを 使わなくて済むし……傷つかない。 花も…虫たちも……」 「何で…なんで、そんなになるまで頑張れるの…? フシギソウはなんで、そんな…花たちのために… 倒れるまで頑張れるの…? …わかんないよ。花はいつか枯れるのに。 花は、私たちよりも早く終わってしまうのに…なんで……」 咲かないヒマワリから、級友に視線を移す。 頬から流れ落ちるふた粒のしずくが、月光でわずかに輝いている。 それは、悲しみからくる雫。 フシギソウは、知っていた。 悲しみで、自身から雫を生み出せるのは、感情を持つ生き物だけだと。 しかし、その雫は悲しみからだけではなく 歓喜からも生み出される、ということを。 それは、いつかどこかの、本人さえ忘れた思い出。 差し出されたちいさな花。 それは、フシギソウが「キレイだな」と一瞬だけ見惚れた、道に咲く花。 孤独で思い悩んでいた彼女に差し出された、友からの贈り物。 嬉しかった。 どんな気取った言葉も、おしゃれなセリフも、救いとはならなかった。 ただ、その一輪だけが 彼女の心に届いた。 彼女の孤独を溶かした。 「…花は、人間や萌えもんと違って、しゃべらない。 でも、心が崖っぷちに追い詰められたひとには、どんなに上手な言葉より ……ただ、そこに咲いているだけで、心に届くことがあるから」 級友に寄りかかり、力の入らない指先を懸命にヒマワリの茎に伸ばす。 やさしく、やさしく。 繊細なガラス細工の置物でもさわるように、フシギソウは物言わぬ花を やさしく撫でる。 「…私の、下手くそな言葉よりも…やさしい“何か”を伝えてくれるから。 だから私は、花が好き。 キレイに咲きますようにって、頑張れる……はは、変…だよね……」 いよいよ体に力が入らなくなり、級友への寄りかかりはより増して。 肩に寄りかかるだけだった体勢が、ずるずると崩れ落ちて膝枕の体勢になる。 級友の頬には、雨上がりの花びらのように沢山のしずくが零れ それにつられたのか、ツボミの少女も沢山のしずくを溢れさせていた。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ どのくらい、そうやって二人で静かに泣いていたのか。 時間は過ぎていって、月は天高く昇り ちょうど、フシギソウとサイカチのいる真上あたりで輝くようになった頃。 変化が、訪れた。 それは、ごく小さな、ほんの僅かに進んでいく変化。 されど、確実に進んでいく変化。 固く閉ざされていた蕾が、すこしずつ、すこしづつ緩んでいく。 綻んだスキマから、中に閉じ込められていた花びらが解き放たれていく。 その変化に最初に気がついたのは、以外にもサイカチだった。 フシギソウは倒れて空を見上げていたので、変化に気がつかなかったのもしれない。 まあ、時間差はあったものの、サイカチが息を呑む気配を感じた フシギソウも、花壇のほうにようやく気がつき ふたりして、無言でその光景を見詰め続けた。 花は、ふたりの観客の熱烈な視線にも照れることなく はなびらを開いていく。 白く輝く月に照らされ、花は咲いていく。 月には古来より、不思議な力が宿っていると伝えられている。 その力は、神秘の力とも狂気の力とも言われている。 そんな月の光に照らされているせいなのかどうかは分からないが、花を咲かせていく ヒマワリたちは、とても不思議な魅力を宿していた。 花びらは黄色ではなく、白色に近い銀色。 月光をよく反射する白い花びらが満開になったとき ふたりはやっと、自分が息すら止めていたことに気がついた。 「………キレイ………」 肺一杯に、忘れていた空気を吸い込んで。 フシギソウが、感嘆の言葉と共に息を吐き出す。 「……うん、すごく、キレイ……」 現実と把握できていないのか、どこか夢見ごこちな声でサイカチも 感嘆の言葉を吐き出す。 もっと語彙が頭脳にあれば、もっと気の利いた褒め言葉が出てきたのかもしれない。 今のふたりにとって、目の前の銀のヒマワリの光景は ただただ「キレイ」としか言いようが無く そして、それで充分だった。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「しんじられない。なんで、こんな夜中に…向日葵が…」 「…向日葵じゃ、ないよ」 サイカチの言葉に、フシギソウが振り返る。 月の光は、残酷なくらい二人の姿を照らし出して。 「月に向かって咲いたから、“向月葵”(ツキマワリ)…だよ、きっと」 しばらくぶりのサイカチの笑顔も、月は余すところなく輝かせていた。 「ツキ、マワリ……」 「…変、かな」 不安を滲ませた声で、月の元で咲く花を命名した少女が問う。 少女の友は、少女に負けないくらいの笑顔で 「ううん、サイコーだよ、それ」 新たな花の誕生を、共に喜んだ。 深い深い、光を吸い込んでしまいそうな暗闇の中。 それにすら負けないような、煌々と輝く月の下。 奇跡の塊のような花が生まれ、ふたりの少女がそれを心の底から笑い、祝う。 そんな、おとぎ話みたいな夜のこと。 サイカチとフシギソウ。二人の他、誰もいないと思われた夜の中。 二人から離れた茂みの陰で、誰にも気づかれていない姿がふたつ。 「…はぁ~あ、とんだ骨折り損のくたびれ儲けだよ」 「何がくたびれ儲けだ、このナマグサが。良いことづくしだろうが」 「それを言うなら怠け者じゃないの? ていうか良いことづくしなのはアンタだけだよ、三大馬鹿大将」 「その呼び方止めろっつっただろうが。もう忘れたのか芋虫が」 赤い髪の小さな影…ケムッソが睨むのは、小さいながらもどこか 冷たい部分を感じさせる少年・ツムギの横顔があり そしてケムッソの横っ面には、鈍く光る小さな鉄の筒。 ケムッソの方など微塵も見ないまま、ツムギは級友に短銃を突きつけている。 突きつけている側も、突きつけられている側も、特にこれといった 表情は顔に浮かんでいない。 まるで「こういう状態で当たり前だ」とでも言いたいような、こういう事態に 慣れきった顔だった。 「とりあえずその物騒なのどけてよ、もういいでしょー」 「こうでもしねえと仕事しねえだろテメエ 最後の最後までアブラムシどかすの渋りやがって…」 引き金から指を離し、物騒で無機質な輝きを反射する銃を パーカーのポケットの中に押し込む。 凶器の姿が消えたことに、ケムッソはやっと生き物らしい安堵の溜め息を漏らした。 「…にしてもさ、大将何だってあの子の為にここまでやるのさ?」 一文の得にもならないのに。 さっさと背を向けて帰ろうとしているツムギに、虫の少女の乾いた言葉が 浴びせられる。 そのセリフに動きがピタリと止まったが、ツムギはさして癇に障った訳でもないらしく、 凶器を構えていた時と全く変わらぬ顔で言葉を紡ぐ。 シリカゲルのようなカラカラに乾いた声色に、ほんの少しだけ人間らしい 熱を込めて。 「知るか、馬鹿野朗」 ――― これは、当事者以外誰も知らぬ夜の 誰も知らない、夜闇の裏側。
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ここは何処にでもありそうな洋菓子店。 しかし、この店は普通の洋菓子店と少しだけ違っていた。 その洋菓子店は"萌ッ娘洋菓子店"と呼ばれ、 その店の洋菓子は萌えもん達が作り、萌えもん達が販売しているだ。 「そろそろ、時期ですねぇ」 店の奥カウンターには喫茶店のマスターが着る様な服を着た人が立っていた。 顔は中性的で背丈は男性にしては低く女性にしては少し高いぐらい。 この店は洋菓子店だが、店の中でも洋菓子を楽しめる様に奥には喫茶スペースもあった。 「マスター、手が動いていませんよ。 口を動かす前に手を動かしてください」 「ああ、判ったよ。マッスグマ」 マスターと呼ばれた人はウェイトレスの格好をしたマッスグマに注意されていた。 ウェイトレスの格好をしたマッスグマはマスターの手持ち萌えもんの1人で、 この店のフロアチーフを担って居る萌えもんである。 「それで、何が『時期』何ですか?」 「ええ。もう2月だなぁって思いましてね」 何だかんだ言って優しい娘である。 マスターの独り言にも律儀に反応する。 「…2月、もうそんな時期なんですね」 「その様ですね」 「今年もやるんですか? バレンタインフェア」 「ここ数年はやってますからね。 もう少しで毎年の恒例…と言える様になるでしょうから」 「…そう、ですね」 「はい、5番さんにカフェオレ」 「あ、はい」 委員長タイプなマッスグマは即座に業務へと戻る。 マスターはその後ろ姿を見て『もう少しフランクでいいのに…』とか考えている顔である。 「マスター、追加分持って来たわ」 「あぁ、ルージェラか。いい所に」 「ん、何かしら?」 今、裏の厨房から出て来たのがサブパティシエのルージェラ。 メインパティシエのニドクインとタッグでこの洋菓子店の味を決めている娘である。 「今年もフェアをやろうと考えてるから、承知しておいてくださいね」 「バレンタインフェア? そう思ってニドクインとも相談済みよ」 「それは話が早くて助かります」 「それじゃあ、わたしは厨房に戻りますね」 そう言ってルージェラは厨房へと戻って行く。 それを見送ったマスターはグラスを拭く作業に戻る。 「お兄さんお兄さん、追加注文だよ」 「……お兄さんと呼ぶのは止めませんか? ベロリンガ」 「やだもん。お兄さんはお兄さんなんだよ」 「ふぅ…、そうですか。注文書をくださいな」 マッスグマと同じウェイトレスの制服を着たベロリンガが居た。 ベロリンガは注文書をマスターへと渡す。 可愛い女の子らしい丸文字が書かれている。 「今年もバレンタインフェアをやる事にしましたよ」 「バレンタインフェア…?」 「君は新人だから知らないかも知れないですけど、この店で毎年やってますから」 マスターは注文書を見てテキパキと注文の品を揃える。 そのついでに業務連絡をしてしまう。 「はい。コレ。3番テーブルへお願いしますね」 「判ったんだよー」 マスターに渡されたトレイを持ってベロリンガがお客様の元へと向かう。 元気なのは良いがその元気がたまに裏目に出るベロリンガである。 その後ろ姿をグラスを拭きながら内心ハラハラしつつ見守るマスター。 「ますたー、お客様2名様ご来店にゃー」 「7番テーブル空いてるからそこに案内してください、ニャース」 「はいにゃー。猫に着いて来てくるにゃ。案内するにゃ」 ニャースを見送ったマスターはグラスを拭く作業へと戻る。 お客様が来てくつろげる空間を演出するのもマスターの仕事である。 2月14日はバレンタインフェア。 貴方もぜひこの機会にご来店ください。 -注文はそれほど多く無い洋菓子店 Fin-
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「…あ、そうそう! リュウマさん…で間違いないですよね……?」 「ん? あぁ、リュウマで間違いないが?」 「私、あなたを探してる人に会ったの!」 「本当か!?」 「うん。つ…付いて来てくれる……?」 「おう!」 ここでまさかの手持ち情報ゲット! これでもう見つかったも同然、一安心。ラピに感謝感謝。 ただ、あいつらが無駄にそこらじゅう駆け回ってなければいいのだが…… 「良かったね、リュウマ」 「あぁ、ホントに助かったよ。ありがとな、二人とも」 「「どういたしまして!」」 二人は声が揃ったのに少し驚き、互いに笑い合った。 その光景がとても微笑ましく、ついつられて俺も頬が緩んでしまう。 「二人とも、本当に仲がいいんだな」 「そう? まぁ、ラピとはけっこう長い付き合いだしね」 「もう! そこは素直にうんって言うとこでしょブイブイ!」 「え? あ、うん。…それで、なんで怒ってるのさ?」 「え、あ…な、なんでもないって!」 「……? それならいいんだけど……」 …この鈍感っぷり、ある意味相当重症だろう。 果たしてブイゼルがラピの想いに気付く日は来るのだろうか…… …と、下らない事を考えていた時だった。 「がぁっ!」 「リュウマ!?」 突然背中に強い衝撃が走って視界が青空に変わったと思うと、 俺は勢いよくヘッドスライディングするような体勢で吹っ飛んだ。 傍から見たら、急加速して綺麗なフォームで飛んでいく変な人に見えたに違いない。 「いっててて……」 「リュウマ、大丈夫?」 「あぁ、なんとかな……」 ブイゼルの手を借り、痛む背中をなだめつつ起き上がる。 先程俺がいた場所を見ると、複数の岩が転がっていた。 そしてその奥に見える茂みからは何者かの高笑い。 こんな事をするのは…… 「はっはっはー! どうだ人間めー! あたちの力を思い知ったかぁー!」 …やはり先程のイシツブテであった。 どうやら一眠りさせられてもまだ懲りてなかったらしい。 「いきなり何するんだよ!」 「よそ見してる方がわるいんだよぉー」 「くっ……!」 確かにイシツブテの意見はもっともだが、いきなり岩を投げてくる方もどうかと思う。 そしてその不意打ちを見て怒りをあらわにするブイゼル。 今にも電光石火を放ちそうな気迫である。 「今日という今日は絶対に許さない!」 「これまであたちに勝てた事ないくせにぃー。それっ!」 「なんのっ!」 イシツブテが岩を投げるのと同時に、ブイゼルが電光石火で攻撃を仕掛ける。 先程と同様、ヒットアンドアウェイの繰り返しだ。 しかしこれでは埒が明かない。それは戦っている本人も分かっている事だろう。 何か打開策はないものか、と考えていると…… 「リュ…リュウマさん、わ、私リュウマさんの手持ちのみんな呼んでくる!」 「お、その手があったか。分かった。よろしく頼む」 「は、はいっ!」 …その手があったのをすっかり忘れていた。 手持ちの皆を呼んでくれば、あの強情なイシツブテも観念して帰ってくれるはず。 そう頭の中で策を確立し、ラピを見送る……が。 「くらえぃ!」 「そんなの当たらないよ!」 「…マズい!」 イシツブテが投げた岩の流れ弾がラピをめがけて飛んできた。 これは確実に直撃コース。飛行タイプがこれを受けたらただでは済まないだろう。 更に不運なことに、ラピは後ろを向いているのでその事に全く気付いていない。 無防備な状態で食らう事になるので、ダメージは計り知れない。 俺はそれに気付いてすぐに駆け出したのだが……ダメだ。間に合わない! 「ラピ! 伏せろ!」 「えっ…きゃあっ!」 イシツブテの投げた岩が放物線を描き、ラピに向かって落ちていく。 俺の努力もむなしく、それはラピに命中……するはずだった。 「なっ……!」 一瞬青い光が横切ったと思ったら、ラピに命中するはずの岩が消えていた。 このどこかで見覚えのある光は、まさか…… 「ふぅ……間に合ったみたいですね」 「ハクリュー! 助かった!」 「はい。リュウマさんもご無事で何よりです」 …やはり今のはハクリューの竜の波動だったようだ。 昨日の温泉騒ぎでのインパクトが強かったため、忘れように忘れられない…… …まぁそれはともかく、ハクリューの参戦により、負ける要素は微塵もなくなった。 これで俺達の勝利……と思ったのだが。 「…あれ? イッシー?」 「あ、リューちゃん。何やってるのぉ?」 「え? ハクリュー、お前こいつと知り合いなのか?」 「知り合いも何も。彼女は私の友人です」 「そうだったのか……」 …ここでまさかの友人発言。こんなの全く想定外だ。 でも、これで争う理由はなくなったし、結果オーライだろう。 …しかし。 「たとえリュウマの仲間の友人でも、僕は許したわけじゃない!」 「ちょ…ちょっとブイブイ、落ち着いてよ!」 「落ち着いてる!」 「落ち着いてないよ!」 …まぁ、やっぱこうなるよな。これまで一度も勝てた事がない相手なら尚更である。 俺だってそんな理由で負け越しの相手と和解しろと言われても納得しないだろう。 だが、そうも言っていられないので"アレ"を使う。 「なぁブイゼル、今回はコレあげるからさ、見逃してやってくれないか?」 「……!」 俺が差し出したのは先程もブイゼルに渡したオボンの実。 残りの三つを全て渡して和解を試みてみる。 先程もっと欲しそうな顔をしいてたから、多分食いついてくれるとは思うが…… 「…わ、分かったよ。今回だけだからね」 「サンキュ。そうしてもらうと助かる」 餌付け…いや、和解成功。なんとか丸く収まった。 だが、このままの関係だと今後がまだ心配だ。 何か対策を打っておかなければ……と思っていた矢先。 「イッシー、あなたまた悪戯してたんでしょ」 「うっ……!」 「そんな事ばかりしてるなら、私ももうあなたの側から離れます」 「ま…待って! 違うのぉ! お願いだから見捨てないでリューちゃん!」 「それじゃあ相手にちゃんと謝って。それからもうしないって約束して」 「わ、分かったよぉ……」 どうやら向こうは向こうでハクリューがイシツブテに灸を据えてくれているようだ。 こちらもこちらで落ち着いたし、これでもう同じような事は起こらないだろう。 そして一通り話が終わり、ハクリューとイシツブテがこちらにやって来る。 「ごめんねブイゼル君。実はこの子、ご両親がいなくて生活が苦しいの。 だから色々迷惑かけちゃったかもしれないけど、許してあげてくれないかな?」 「…そうだったんだ。君も一人だったんだ」 「べ、別にあたちは一人でも……」 「大丈夫じゃなかったから迷惑をかけたんでしょ? ほら、ちゃんと謝りなさい」 「うぅ……ご、ごめんなさい……」 イシツブテの素直な謝罪に驚き、少し考え込むブイゼル。 そして、彼がイシツブテに返した言葉は…… 「許さない」 「え……?」 「ブイブイ!?」 「さっきも言ったでしょ? 絶対に許さないって」 「だからって、それはないよ!」 「ちょっとラピは黙ってて」 「むぅ……」 彼の真剣なまなざしに、従わざるを得ないラピ。 多分ああなったブイゼルは止められないと分かっていて黙ったのだろう。 そして再びブイゼルはイシツブテの方を向き、話を続ける。 「…さっきも言った通り、許さない。だから、いつかリベンジさせてもらうよ」 「リベンジ……?」 「そう。僕が勝つまで付き合ってもらう。嫌とは言わせない」 「な、なぁんだ。そういう事ならあたちだって手加減しないよぉ?」 「臨むところ。こっちも本気でいくよ」 「かかって来なさぁい!」 「もちろん、今じゃないけどね」 「がくっ」 …一時はどうなるかと思ったが、これにて一件落着の様子。 もう以前のようなカリカリとした雰囲気はない。 これで本当に一安心……と思ったが、大事なことを忘れていた。 「そうだハクリュー、ポニータ達は?」 「あ、はい。今呼びますね」 「へ? うおっ!」 そう言い終わるや否や、空に向かって竜の波動を放つハクリュー。 するとその何秒かした後…… 「…ューウ兄ぃぃー!」 「ぐはっ!」 背後から何か聞こえたと思うと、突然背中に走る強烈な衝撃。 まぁ、犯人は言うまでもなくポニータであるのは明白だ。 「探したんだからっ! 本当に探したんだからぁっ!」 「あいてて……探した? お前の聴力ならすぐに見つけられたんじゃないのか?」 「見つからなかったから心配したんだよっ! うわあぁぁん!」 「……? まぁいいか。最終的に見つかったんだしな。心配かけて悪かった」 ちなみにポニータは、ずば抜けて聴力がいい。 普通このような環境ならば何キロか先の音や会話も聞き取れる。 が、今日は多分調子が悪かったのだろう。実際そういう日もあるようだし。 …胸元で泣きじゃくるポニータをなだめつつ、ハクリューと話を続ける。 「それでハクリュー、実は俺、記憶が飛んでどうしてこうなったか全く覚えてないんだ」 「えぇ!? 大丈夫なのですか?」 「あー、まぁ取りあえずは。それで、一体全体どういう事なんだ?」 「…はい。それについては一言で言うと、事故ですね」 「そうだろうとは思ってた。で、クウとオニドリルの様子は?」 「今はフスベのセンターで治療中です。彼女達も無傷では済まなかったので」 「そうか。それじゃ、すぐそっちに向かおうか」 「はい!」 一通り今後の方針を決め、ブイゼル達の方に向き直る。 短い付き合いだったとはいえ世話になったのだから、きちんと礼を言わなくては。 「…それじゃ、俺達はこの辺で。ホントにありがとな。助かった」 「ううん。こちらこそ色々学ばせてもらったよ。ありがとう」 「ラピもイシツブテも、またな。仲良くやれよ?」 「「はーい!」」 「じゃ、また来るよ。元気で……」 「あ…ねぇ、リュウマ」 「ん? なんだ?」 丁度出発しようとしたところ、またしもブイゼルに引き止められた。 今日これで何度目だろうとか思いつつ、ブイゼルの呼び掛けに足を止める。 「えっと、あのさ……ううん、なんでもない。また来てよね」 「あぁ。今度来る時はまた何か木の実持って来てやるよ」 「うん。楽しみにしてる」 「おう! そんじゃ、またな」 「ま、またね」 …何か言いたそうな様子だったが、一体何を言いたかったのだろう。 少し気になったが、それはまた今度来た時に聞く事にする。 そうして俺達三人は再びフスベシティへと向かうのだった。 …向かうのだったが。 「…なぁポニータ、いつまで俺にくっついてるつもりだ?」 「……」 「ポニータ…って、寝てるよオイ……」 「安心して眠くなっちゃったんですかね?」 「勘弁してくれよ……。ハクリュー、ボールは持ってきてないか?」 「すみません。忘れてきてしまいました……」 「そっか……じゃあ仕方ない。背負って行くか」 …………。 …ブイゼル達と別れて数分後、俺達一行はフスベシティに到着した。 そして着いて早々センターへ向かうと、そこには見慣れた少女の姿が。 「リュウマさーん」 「お、ラプラス。すまないな。色々迷惑かけちまったみたいで」 「いえいえー。無事で何よりですー」 「あぁ。ありがとな。…それで、クウとオニドリルは?」 「はいー。こっちですー」 立ち話もほどほどに、ラプラスに先導されてセンターに入る。 いつもなら入ってすぐ横の腰掛けに皆集まっているはずなのだが……誰もいない。 「こっちですよー」 「そっちって……個室か?」 どういうわけか今日ここに泊まる予定はないのだが、個室を借りているらしい。 もしかすると二人とも結構なケガをして寝込んでいるのかもしれない。 そう考えると急に心配になり、速足で個室へ向かう。 そしてその個室の扉を開くと、そこには…… 「zzz……」 「……」 …だらしない格好でベッドで寝ているオニドリルが二人。 彼女らの体に怪我といった怪我は特に見当たらない。 即座にどういう事かラプラスに問おうとし、慌ててラプラスが説明する。 「えーっと、これは今日一日は安静にしてろと言われてですねー……」 「なんだ、そういう事か……。まぁ取りあえず、大したケガもなくて一安心だな」 「はいー」 なんだか心配して損したような気分だが、とにかく大事に至らなくて良かった。 安心したついでに、背中で寝ているポニータも二人の寝ているベッドに降ろす。 別に重いと言っているワケではないが、流石に背負いっぱなしもキツいしな。 そして今日は仕方ないのでここで一泊せざるを得ないのだが、さて、どうした事やら。 …と、今後の予定を考えていると、一人個室の外へ向かうハクリュー。 「…それでは、私はこれにて失礼しますね」 「え? 失礼するって、どこに行くんだ?」 「あ…ごめんなさい! 記憶をなくされてたのですよね。失礼しました」 「あー、ごめんな。どうにも思い出せなくてさ」 「いえ、事故なら仕方がありません。ではもう一度お伝えします」 忘れてしまった俺のために嫌な顔一つせず、もう一度教えてくれるハクリュー。 他の手持ち達なら確実に「えー」とか「めんどくさーい」などと言うだろう。 そういった意味では、本当にこの子を仲間にして良かったと思う……が。 「私、リュウマさんの手持ちから外れます」 「…へ?」 「どうしてもこちらで手放せない用事ができてしまったので、申し訳ありませんが……」 「あ…あぁ、そうなのか……。分かった。それなら仕方ないよな……ハハ」 …きっと親友に裏切られた時やフラれた時の気持ちってこんな感じなのだろう。 それくらいハクリューがパーティーから外れるのはショックだった。 せっかく俺の苦労を分かち合ってくれる仲間ができたと思ってたのに…… 「あ、ですがポケギアで呼び出してもらえればいつでも駆け付けますので」 「え? ポケギア…って!」 そう言ってハクリューが見せてくれたのは、どこか見覚えのある羽根型の小さな機械。 見た瞬間犯人は分かったが、当の本人は寝ているので後ほどまた問い詰めるとする。 「…ではそろそろ失礼しますね。本当にごめんなさい」 「あぁ、気にしなくてもいいよ。それじゃ、またな」 「はい。それではまた」 「元気でねー」 「ラプラスも元気でね」 ハクリューは扉の前で俺達に一礼し、部屋を出て行った。 正直こんなに早く手持ちから離れるとは思ってなかったが……仕方ないか。 無理させてまで来てもらうわけにもいかないし。 「…じゃ、この際だ。俺達もゆっくり休むとしよう」 「はーい」 …というワケで、結局俺達はセンターで一晩暇をもてあそぶ事となった。 本来の旅路からかなり逸脱してしまったが、まぁたまには道草もいいだろう。 何事も予定通りいくとは限らないし。焦っても失敗するだけだ。 …そう開き直りつつ、再度俺は惰眠をむさぼるのであった。 …………。 「リュウ兄ー! 朝だよっ! おっきろー!」 「え…朝? マジで!?」 ポニータに毛布を剥ぎ取られた事などお構いなしに、慌ててベッドから飛び起きる。 しかし窓越しに外を見ると、空は茜色に染まり、カラスが数匹羽ばたいて鳴いていた。 おまけに町中では子供達がわいわい騒いで遊んでいるではないか。 「…朝にしては随分賑やかだなぁ、ポニータ?」 「あはは……こうでもしないと目が覚めないかなぁーって思ってさ!」 「いやそんな事しなくとも……はぁ、まぁいいか。で、何かあったのか?」 「あ、うん。ちょっとこっち来てっ!」 「お、おい!」 有無を言わさず強引に手を取り引っ張るポニータ。 そのまま俺はセンターのエントランスまで引きずり出された。 するとそこにいたのは安静にしていなければならないはずのオニドリル。 今度は一体何を企んでいるのやら…… 「ドリちゃーん、連れて来たよっ!」 「ご苦労ご苦労」 「ご苦労って……寝てろよ怪我人」 「だって暇なんだもーん。もう怪我もなんともないし!」 「そういう問題じゃないっての。いいから寝とけ」 「ふーん……そんな事言ってもいいのー?」 あー、こりゃ確実に何か企んでる時の目だ。 こうなるとただでは部屋に戻ってくれないだろう。 仕方がないので、今回は素直に聞いてやる事にする。 記憶がないとは言え、墜ちた原因が俺かもしれないから逆らえないというのもあるが。 「…分かった分かった。話だけは聞いてやる」 「よし! そうこなくっちゃ! じゃ、ラプー、よろしくー!」 「はーい」 オニドリルの合図で待ってましたとばかりに外からラプラスが入ってくる。 …人の背ほどの高さがある謎の歩く雪ダルマを引き連れて。 「…これは?」 「それを当てるのが今日のクイズ! 制限時間は一分! はいスタート!」 「いやオニドリル、クイズとかいいから早く中のやつ出してやれ。凍え死ぬぞ」 「えー!?」 せっかく経験者の俺が忠告してやっているのにこの反応である。 こいつは死人が出てからでないと危険だというのが分からないのだろうか。 …そうこうしている内に、その雪ダルマは力尽きたのか、ぼてっと倒れてしまった。 「わっ! ちょっと、大丈夫!?」 「ほら言わんこっちゃない。早く出してやれ。ポニ……いや、やっぱ俺がやる」 ポニータに頼もうとしたが、さすがに室内で火を使うのは危ない。 それに中のやつも下手をすれば火ダルマになりかねないし…… …とか思いつつ雪ダルマを崩していくと、そこには見覚えのある萌えもんの姿が。 「…って、ブイゼル!? 大丈夫か!?」 「ゲホゲホッ……あ、リュウマ? 僕ならなんとか大丈夫。それより……」 「あぁ、分かってる。ラプラス、オニドリルを氷漬けにしてでも部屋へ連行!」 「え? そういう意味じゃ……」 「はーい。ふふふ……」 「ちょ、ちょっとラプ? 目が怖いよ? ま、待って! こっち来な…いやあぁぁ!!」 …………。 「…さて、これで邪魔者はいなくなったな」 「むごいね……」 さすがに今回の悪戯は度が過ぎた。下手をすれば大事故になっていたろうに。 故にあいつにはこれくらいお仕置して分らせておかねばなるまい。 これでも軽いくらいだが、やり過ぎても可哀相だし、一応怪我人だしな。 「ごめんな、あのバカが変な事して」 「ううん、もう大丈夫。それに騙される僕もまだまだ未熟だし……」 「いやいや、どう考えても悪いのはオニドリルだから。な、ポニータ」 「うん。今回のはちょっとやり過ぎだったね……。ごめんねブイゼル君」 この様子だと、今回ポニータはあまりこの騒ぎに関与していないらしい。 この子だけでもまともな思考を持った子がいて本当に良かった…… 「じゃ、あいつは後で俺がきっちりシメとくからさ、安心して帰るといい」 「え? あ…うん。冗談だったんだよね……」 「ん? 何がだ?」 「う…ううん、なんでもない。それじゃ……!?」 何か言いたそうなまま帰るブイゼルだったが、ポニータがそれを止める。 彼女の目は真剣そのもので、何かをブイゼルに語りかけているかのようだった。 するとその目に感化されたのか、やがてブイゼルは再びこちらに向き直る。 そして、意を決した表情で話し始めた。 「…あのさ、リュウマ」 「お、なんだ? 急に改まって?」 「実はさ、僕……」 「実は?」 「…僕、君と一緒に旅がしてみたい。だから、僕を君の仲間にしてくれないかな?」 「え……」 「よしっ! 合格だよブイブイ! これからよろしくねっ!」 「……」 俺の返事も待たずにサムズアップのポーズでブイゼルを歓迎するポニータ。 ホントこいつの先走り癖はどうにかならないものか…… でもブイゼルがここに来た時点でこうなるのは大体予想出来てたし、まぁいいだろう。 「…本当?」 「あぁ、本当だ」 「今度こそ冗談じゃない?」 「冗談はこれまで誰かさんに嫌ってほど聞かされてきたから嫌いだ」 「う、うん……」 何の試練だかは知らないが、取りあえず合格したと伝えると黙ってしまうブイゼル。 特に思い当たる節はないのだが、何か悪い事でも言ってしまったのだろうか? 「…ブイゼル?」 「あ、ごめん。何か夢を見てるみたいでさ、実感がないんだ」 「夢なんかじゃないって。なんなら、一発デコピン入れてやろうか?」 「う…ううん、それは遠慮しとくよ」 そこまで仲間になれたのが嬉しかったのだろうか……と思ったが、 これまで彼は一人で生きてきたのだし、これが当然の反応なのかもしれない。 だから、俺はこれからブイゼルに仲間と共に生きる喜びを教なくてはならない。 それが俺にしてやれる彼への最善の行いであり、義務である。そう思った。 「…じゃ、改めてこれからよろしくな、ブイゼル」 「うん。こちらこそよろしく、リュウマ、ポニータ」 「うん! 今日からよろしくねっ!」 …こうしてまた一人新しい仲間を迎えた俺達一行。 まだ旅に出て数日しか経っていないが、かなり内容の濃い旅路だと思う。 まぁ、これからも多分こんな事がたくさん起こるのだろうが。 …取りあえず、もういい加減道草とかしないで普通に旅がしたい。 それが、まだまだ続くであろう旅に向けて俺が願う事である。 ~あとがき~ こんにちは、ポエルです。 前編と後編の2部に分けるとか言いながらこの有様です。ごめんなさい。 次はもっと短く纏められるよう努力します。多分。 …さて、今回は新入りブイゼルが仲間入りするまでの経緯を書かせてもらいました。 彼は幼い頃に両親を失い、生きる知識を教わらないまま取り残されたという設定ですが、 その知識の半分程度はラピに、その他は自力で習得してしまったという頭の良い子です。 それ故に普段は冷静で何事にも動じない大人しい性格ですが、もちろん欠点もあります。 ラピとしか関わりを持たなかったという時点で大体目星はつくとは思いますが…… では、いつもながらこのような作品を見ていただきありがとうございました! 今後もペースはともかく頑張りますのでよろしくお願いしますっ!
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【進化させない理由】 ◎ニャースの場合 「マスターはなんで にゃーを進化させてくれないのよさ?」 「俺は可愛いお前がすきなんだよ。 進化したら美しくて優雅なペルシアンになっちゃうだろ?」 「ふにゃーん……(いわゆるロリコンにゃね)」 「……(ものひろいの特性がカネになるってのもあるが)」 ◎アーボの場合 「どうして進化させてくれないんですかぁ~?」 「お前はこれ以上でかくなると困るから。 最近寝ぼけてか知らんが、俺を喰おうとしてるだろ?」 「失礼なっ、寝ぼけてないですよぉ~! ますたぁのことが食べちゃいたいくらい大好きなんですからぁ~」 「故意ならなおさら進化させられねぇよ」 「恋ですよぉ」 「上手く纏めたつもりだろうが、とにかく進化はさせんぞ……多分」 ◎ベイリーフの場合 「マスター、私はなんd「花粉症だから」」 「え?」 「花粉症」 「……そうですか」
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「…あ、そうそう! リュウマさん…で間違いないですよね……?」 「ん? あぁ、リュウマで間違いないが?」 「私、あなたを探してる人に会ったの!」 「本当か!?」 「うん。つ…付いて来てくれる……?」 「おう!」 ここでまさかの手持ち情報ゲット! これでもう見つかったも同然、一安心。ラピに感謝感謝。 ただ、あいつらが無駄にそこらじゅう駆け回ってなければいいのだが…… 「良かったね、リュウマ」 「あぁ、ホントに助かったよ。ありがとな、二人とも」 「「どういたしまして!」」 二人は声が揃ったのに少し驚き、互いに笑い合った。 その光景がとても微笑ましく、ついつられて俺も頬が緩んでしまう。 「二人とも、本当に仲がいいんだな」 「そう? まぁ、ラピとはけっこう長い付き合いだしね」 「もう! そこは素直にうんって言うとこでしょブイブイ!」 「え? あ、うん。…それで、なんで怒ってるのさ?」 「え、あ…な、なんでもないって!」 「……? それならいいんだけど……」 …この鈍感っぷり、ある意味相当重症だろう。 果たしてブイゼルがラピの想いに気付く日は来るのだろうか…… …と、下らない事を考えていた時だった。 「がぁっ!」 「リュウマ!?」 突然背中に強い衝撃が走って視界が青空に変わったと思うと、 俺は勢いよくヘッドスライディングするような体勢で吹っ飛んだ。 傍から見たら、急加速して綺麗なフォームで飛んでいく変な人に見えたに違いない。 「いっててて……」 「リュウマ、大丈夫?」 「あぁ、なんとかな……」 ブイゼルの手を借り、痛む背中をなだめつつ起き上がる。 先程俺がいた場所を見ると、複数の岩が転がっていた。 そしてその奥に見える茂みからは何者かの高笑い。 こんな事をするのは…… 「はっはっはー! どうだ人間めー! あたちの力を思い知ったかぁー!」 …やはり先程のイシツブテであった。 どうやら一眠りさせられてもまだ懲りてなかったらしい。 「いきなり何するんだよ!」 「よそ見してる方がわるいんだよぉー」 「くっ……!」 確かにイシツブテの意見はもっともだが、いきなり岩を投げてくる方もどうかと思う。 そしてその不意打ちを見て怒りをあらわにするブイゼル。 今にも電光石火を放ちそうな気迫である。 「今日という今日は絶対に許さない!」 「これまであたちに勝てた事ないくせにぃー。それっ!」 「なんのっ!」 イシツブテが岩を投げるのと同時に、ブイゼルが電光石火で攻撃を仕掛ける。 先程と同様、ヒットアンドアウェイの繰り返しだ。 しかしこれでは埒が明かない。それは戦っている本人も分かっている事だろう。 何か打開策はないものか、と考えていると…… 「リュ…リュウマさん、わ、私リュウマさんの手持ちのみんな呼んでくる!」 「お、その手があったか。分かった。よろしく頼む」 「は、はいっ!」 …その手があったのをすっかり忘れていた。 手持ちの皆を呼んでくれば、あの強情なイシツブテも観念して帰ってくれるはず。 そう頭の中で策を確立し、ラピを見送る……が。 「くらえぃ!」 「そんなの当たらないよ!」 「…マズい!」 イシツブテが投げた岩の流れ弾がラピをめがけて飛んできた。 これは確実に直撃コース。飛行タイプがこれを受けたらただでは済まないだろう。 更に不運なことに、ラピは後ろを向いているのでその事に全く気付いていない。 無防備な状態で食らう事になるので、ダメージは計り知れない。 俺はそれに気付いてすぐに駆け出したのだが……ダメだ。間に合わない! 「ラピ! 伏せろ!」 「えっ…きゃあっ!」 イシツブテの投げた岩が放物線を描き、ラピに向かって落ちていく。 俺の努力もむなしく、それはラピに命中……するはずだった。 「なっ……!」 一瞬青い光が横切ったと思ったら、ラピに命中するはずの岩が消えていた。 このどこかで見覚えのある光は、まさか…… 「ふぅ……間に合ったみたいですね」 「ハクリュー! 助かった!」 「はい。リュウマさんもご無事で何よりです」 …やはり今のはハクリューの竜の波動だったようだ。 昨日の温泉騒ぎでのインパクトが強かったため、忘れように忘れられない…… …まぁそれはともかく、ハクリューの参戦により、負ける要素は微塵もなくなった。 これで俺達の勝利……と思ったのだが。 「…あれ? イッシー?」 「あ、リューちゃん。何やってるのぉ?」 「え? ハクリュー、お前こいつと知り合いなのか?」 「知り合いも何も。彼女は私の友人です」 「そうだったのか……」 …ここでまさかの友人発言。こんなの全く想定外だ。 でも、これで争う理由はなくなったし、結果オーライだろう。 …しかし。 「たとえリュウマの仲間の友人でも、僕は許したわけじゃない!」 「ちょ…ちょっとブイブイ、落ち着いてよ!」 「落ち着いてる!」 「落ち着いてないよ!」 …まぁ、やっぱこうなるよな。これまで一度も勝てた事がない相手なら尚更である。 俺だってそんな理由で負け越しの相手と和解しろと言われても納得しないだろう。 だが、そうも言っていられないので"アレ"を使う。 「なぁブイゼル、今回はコレあげるからさ、見逃してやってくれないか?」 「……!」 俺が差し出したのは先程もブイゼルに渡したオボンの実。 残りの三つを全て渡して和解を試みてみる。 先程もっと欲しそうな顔をしいてたから、多分食いついてくれるとは思うが…… 「…わ、分かったよ。今回だけだからね」 「サンキュ。そうしてもらうと助かる」 餌付け…いや、和解成功。なんとか丸く収まった。 だが、このままの関係だと今後がまだ心配だ。 何か対策を打っておかなければ……と思っていた矢先。 「イッシー、あなたまた悪戯してたんでしょ」 「うっ……!」 「そんな事ばかりしてるなら、私ももうあなたの側から離れます」 「ま…待って! 違うのぉ! お願いだから見捨てないでリューちゃん!」 「それじゃあ相手にちゃんと謝って。それからもうしないって約束して」 「わ、分かったよぉ……」 どうやら向こうは向こうでハクリューがイシツブテに灸を据えてくれているようだ。 こちらもこちらで落ち着いたし、これでもう同じような事は起こらないだろう。 そして一通り話が終わり、ハクリューとイシツブテがこちらにやって来る。 「ごめんねブイゼル君。実はこの子、ご両親がいなくて生活が苦しいの。 だから色々迷惑かけちゃったかもしれないけど、許してあげてくれないかな?」 「…そうだったんだ。君も一人だったんだ」 「べ、別にあたちは一人でも……」 「大丈夫じゃなかったから迷惑をかけたんでしょ? ほら、ちゃんと謝りなさい」 「うぅ……ご、ごめんなさい……」 イシツブテの素直な謝罪に驚き、少し考え込むブイゼル。 そして、彼がイシツブテに返した言葉は…… 「許さない」 「え……?」 「ブイブイ!?」 「さっきも言ったでしょ? 絶対に許さないって」 「だからって、それはないよ!」 「ちょっとラピは黙ってて」 「むぅ……」 彼の真剣なまなざしに、従わざるを得ないラピ。 多分ああなったブイゼルは止められないと分かっていて黙ったのだろう。 そして再びブイゼルはイシツブテの方を向き、話を続ける。 「…さっきも言った通り、許さない。だから、いつかリベンジさせてもらうよ」 「リベンジ……?」 「そう。僕が勝つまで付き合ってもらう。嫌とは言わせない」 「な、なぁんだ。そういう事ならあたちだって手加減しないよぉ?」 「臨むところ。こっちも本気でいくよ」 「かかって来なさぁい!」 「もちろん、今じゃないけどね」 「がくっ」 …一時はどうなるかと思ったが、これにて一件落着の様子。 もう以前のようなカリカリとした雰囲気はない。 これで本当に一安心……と思ったが、大事なことを忘れていた。 「そうだハクリュー、ポニータ達は?」 「あ、はい。今呼びますね」 「へ? うおっ!」 そう言い終わるや否や、空に向かって竜の波動を放つハクリュー。 するとその何秒かした後…… 「…ューウ兄ぃぃー!」 「ぐはっ!」 背後から何か聞こえたと思うと、突然背中に走る強烈な衝撃。 まぁ、犯人は言うまでもなくポニータであるのは明白だ。 「探したんだからっ! 本当に探したんだからぁっ!」 「あいてて……探した? お前の聴力ならすぐに見つけられたんじゃないのか?」 「見つからなかったから心配したんだよっ! うわあぁぁん!」 「……? まぁいいか。最終的に見つかったんだしな。心配かけて悪かった」 ちなみにポニータは、ずば抜けて聴力がいい。 普通このような環境ならば何キロか先の音や会話も聞き取れる。 が、今日は多分調子が悪かったのだろう。実際そういう日もあるようだし。 …胸元で泣きじゃくるポニータをなだめつつ、ハクリューと話を続ける。 「それでハクリュー、実は俺、記憶が飛んでどうしてこうなったか全く覚えてないんだ」 「えぇ!? 大丈夫なのですか?」 「あー、まぁ取りあえずは。それで、一体全体どういう事なんだ?」 「…はい。それについては一言で言うと、事故ですね」 「そうだろうとは思ってた。で、クウとオニドリルの様子は?」 「今はフスベのセンターで治療中です。彼女達も無傷では済まなかったので」 「そうか。それじゃ、すぐそっちに向かおうか」 「はい!」 一通り今後の方針を決め、ブイゼル達の方に向き直る。 短い付き合いだったとはいえ世話になったのだから、きちんと礼を言わなくては。 「…それじゃ、俺達はこの辺で。ホントにありがとな。助かった」 「ううん。こちらこそ色々学ばせてもらったよ。ありがとう」 「ラピもイシツブテも、またな。仲良くやれよ?」 「「はーい!」」 「じゃ、また来るよ。元気で……」 「あ…ねぇ、リュウマ」 「ん? なんだ?」 丁度出発しようとしたところ、またしもブイゼルに引き止められた。 今日これで何度目だろうとか思いつつ、ブイゼルの呼び掛けに足を止める。 「えっと、あのさ……ううん、なんでもない。また来てよね」 「あぁ。今度来る時はまた何か木の実持って来てやるよ」 「うん。楽しみにしてる」 「おう! そんじゃ、またな」 「ま、またね」 …何か言いたそうな様子だったが、一体何を言いたかったのだろう。 少し気になったが、それはまた今度来た時に聞く事にする。 そうして俺達三人は再びフスベシティへと向かうのだった。 …向かうのだったが。 「…なぁポニータ、いつまで俺にくっついてるつもりだ?」 「……」 「ポニータ…って、寝てるよオイ……」 「安心して眠くなっちゃったんですかね?」 「勘弁してくれよ……。ハクリュー、ボールは持ってきてないか?」 「すみません。忘れてきてしまいました……」 「そっか……じゃあ仕方ない。背負って行くか」 …………。 …ブイゼル達と別れて数分後、俺達一行はフスベシティに到着した。 そして着いて早々センターへ向かうと、そこには見慣れた少女の姿が。 「リュウマさーん」 「お、ラプラス。すまないな。色々迷惑かけちまったみたいで」 「いえいえー。無事で何よりですー」 「あぁ。ありがとな。…それで、クウとオニドリルは?」 「はいー。こっちですー」 立ち話もほどほどに、ラプラスに先導されてセンターに入る。 いつもなら入ってすぐ横の腰掛けに皆集まっているはずなのだが……誰もいない。 「こっちですよー」 「そっちって……個室か?」 どういうわけか今日ここに泊まる予定はないのだが、個室を借りているらしい。 もしかすると二人とも結構なケガをして寝込んでいるのかもしれない。 そう考えると急に心配になり、速足で個室へ向かう。 そしてその個室の扉を開くと、そこには…… 「zzz……」 「……」 …だらしない格好でベッドで寝ているオニドリルが二人。 彼女らの体に怪我といった怪我は特に見当たらない。 即座にどういう事かラプラスに問おうとし、慌ててラプラスが説明する。 「えーっと、これは今日一日は安静にしてろと言われてですねー……」 「なんだ、そういう事か……。まぁ取りあえず、大したケガもなくて一安心だな」 「はいー」 なんだか心配して損したような気分だが、とにかく大事に至らなくて良かった。 安心したついでに、背中で寝ているポニータも二人の寝ているベッドに降ろす。 別に重いと言っているワケではないが、流石に背負いっぱなしもキツいしな。 そして今日は仕方ないのでここで一泊せざるを得ないのだが、さて、どうした事やら。 …と、今後の予定を考えていると、一人個室の外へ向かうハクリュー。 「…それでは、私はこれにて失礼しますね」 「え? 失礼するって、どこに行くんだ?」 「あ…ごめんなさい! 記憶をなくされてたのですよね。失礼しました」 「あー、ごめんな。どうにも思い出せなくてさ」 「いえ、事故なら仕方がありません。ではもう一度お伝えします」 忘れてしまった俺のために嫌な顔一つせず、もう一度教えてくれるハクリュー。 他の手持ち達なら確実に「えー」とか「めんどくさーい」などと言うだろう。 そういった意味では、本当にこの子を仲間にして良かったと思う……が。 「私、リュウマさんの手持ちから外れます」 「…へ?」 「どうしてもこちらで手放せない用事ができてしまったので、申し訳ありませんが……」 「あ…あぁ、そうなのか……。分かった。それなら仕方ないよな……ハハ」 …きっと親友に裏切られた時やフラれた時の気持ちってこんな感じなのだろう。 それくらいハクリューがパーティーから外れるのはショックだった。 せっかく俺の苦労を分かち合ってくれる仲間ができたと思ってたのに…… 「あ、ですがポケギアで呼び出してもらえればいつでも駆け付けますので」 「え? ポケギア…って!」 そう言ってハクリューが見せてくれたのは、どこか見覚えのある羽根型の小さな機械。 見た瞬間犯人は分かったが、当の本人は寝ているので後ほどまた問い詰めるとする。 「…ではそろそろ失礼しますね。本当にごめんなさい」 「あぁ、気にしなくてもいいよ。それじゃ、またな」 「はい。それではまた」 「元気でねー」 「ラプラスも元気でね」 ハクリューは扉の前で俺達に一礼し、部屋を出て行った。 正直こんなに早く手持ちから離れるとは思ってなかったが……仕方ないか。 無理させてまで来てもらうわけにもいかないし。 「…じゃ、この際だ。俺達もゆっくり休むとしよう」 「はーい」 …というワケで、結局俺達はセンターで一晩暇をもてあそぶ事となった。 本来の旅路からかなり逸脱してしまったが、まぁたまには道草もいいだろう。 何事も予定通りいくとは限らないし。焦っても失敗するだけだ。 …そう開き直りつつ、再度俺は惰眠をむさぼるのであった。 …………。 「リュウ兄ー! 朝だよっ! おっきろー!」 「え…朝? マジで!?」 ポニータに毛布を剥ぎ取られた事などお構いなしに、慌ててベッドから飛び起きる。 しかし窓越しに外を見ると、空は茜色に染まり、カラスが数匹羽ばたいて鳴いていた。 おまけに町中では子供達がわいわい騒いで遊んでいるではないか。 「…朝にしては随分賑やかだなぁ、ポニータ?」 「あはは……こうでもしないと目が覚めないかなぁーって思ってさ!」 「いやそんな事しなくとも……はぁ、まぁいいか。で、何かあったのか?」 「あ、うん。ちょっとこっち来てっ!」 「お、おい!」 有無を言わさず強引に手を取り引っ張るポニータ。 そのまま俺はセンターのエントランスまで引きずり出された。 するとそこにいたのは安静にしていなければならないはずのオニドリル。 今度は一体何を企んでいるのやら…… 「ドリちゃーん、連れて来たよっ!」 「ご苦労ご苦労」 「ご苦労って……寝てろよ怪我人」 「だって暇なんだもーん。もう怪我もなんともないし!」 「そういう問題じゃないっての。いいから寝とけ」 「ふーん……そんな事言ってもいいのー?」 あー、こりゃ確実に何か企んでる時の目だ。 こうなるとただでは部屋に戻ってくれないだろう。 仕方がないので、今回は素直に聞いてやる事にする。 記憶がないとは言え、墜ちた原因が俺かもしれないから逆らえないというのもあるが。 「…分かった分かった。話だけは聞いてやる」 「よし! そうこなくっちゃ! じゃ、ラプー、よろしくー!」 「はーい」 オニドリルの合図で待ってましたとばかりに外からラプラスが入ってくる。 …人の背ほどの高さがある謎の歩く雪ダルマを引き連れて。 「…これは?」 「それを当てるのが今日のクイズ! 制限時間は一分! はいスタート!」 「いやオニドリル、クイズとかいいから早く中のやつ出してやれ。凍え死ぬぞ」 「えー!?」 せっかく経験者の俺が忠告してやっているのにこの反応である。 こいつは死人が出てからでないと危険だというのが分からないのだろうか。 …そうこうしている内に、その雪ダルマは力尽きたのか、ぼてっと倒れてしまった。 「わっ! ちょっと、大丈夫!?」 「ほら言わんこっちゃない。早く出してやれ。ポニ……いや、やっぱ俺がやる」 ポニータに頼もうとしたが、さすがに室内で火を使うのは危ない。 それに中のやつも下手をすれば火ダルマになりかねないし…… …とか思いつつ雪ダルマを崩していくと、そこには見覚えのある萌えもんの姿が。 「…って、ブイゼル!? 大丈夫か!?」 「ゲホゲホッ……あ、リュウマ? 僕ならなんとか大丈夫。それより……」 「あぁ、分かってる。ラプラス、オニドリルを氷漬けにしてでも部屋へ連行!」 「え? そういう意味じゃ……」 「はーい。ふふふ……」 「ちょ、ちょっとラプ? 目が怖いよ? ま、待って! こっち来な…いやあぁぁ!!」 …………。 「…さて、これで邪魔者はいなくなったな」 「むごいね……」 さすがに今回の悪戯は度が過ぎた。下手をすれば大事故になっていたろうに。 故にあいつにはこれくらいお仕置して分らせておかねばなるまい。 これでも軽いくらいだが、やり過ぎても可哀相だし、一応怪我人だしな。 「ごめんな、あのバカが変な事して」 「ううん、もう大丈夫。それに騙される僕もまだまだ未熟だし……」 「いやいや、どう考えても悪いのはオニドリルだから。な、ポニータ」 「うん。今回のはちょっとやり過ぎだったね……。ごめんねブイゼル君」 この様子だと、今回ポニータはあまりこの騒ぎに関与していないらしい。 この子だけでもまともな思考を持った子がいて本当に良かった…… 「じゃ、あいつは後で俺がきっちりシメとくからさ、安心して帰るといい」 「え? あ…うん。冗談だったんだよね……」 「ん? 何がだ?」 「う…ううん、なんでもない。それじゃ……!?」 何か言いたそうなまま帰るブイゼルだったが、ポニータがそれを止める。 彼女の目は真剣そのもので、何かをブイゼルに語りかけているかのようだった。 するとその目に感化されたのか、やがてブイゼルは再びこちらに向き直る。 そして、意を決した表情で話し始めた。 「…あのさ、リュウマ」 「お、なんだ? 急に改まって?」 「実はさ、僕……」 「実は?」 「…僕、君と一緒に旅がしてみたい。だから、僕を君の仲間にしてくれないかな?」 「え……」 「よしっ! 合格だよブイブイ! これからよろしくねっ!」 「……」 俺の返事も待たずにサムズアップのポーズでブイゼルを歓迎するポニータ。 ホントこいつの先走り癖はどうにかならないものか…… でもブイゼルがここに来た時点でこうなるのは大体予想出来てたし、まぁいいだろう。 「…本当?」 「あぁ、本当だ」 「今度こそ冗談じゃない?」 「冗談はこれまで誰かさんに嫌ってほど聞かされてきたから嫌いだ」 「う、うん……」 何の試練だかは知らないが、取りあえず合格したと伝えると黙ってしまうブイゼル。 特に思い当たる節はないのだが、何か悪い事でも言ってしまったのだろうか? 「…ブイゼル?」 「あ、ごめん。何か夢を見てるみたいでさ、実感がないんだ」 「夢なんかじゃないって。なんなら、一発デコピン入れてやろうか?」 「う…ううん、それは遠慮しとくよ」 そこまで仲間になれたのが嬉しかったのだろうか……と思ったが、 これまで彼は一人で生きてきたのだし、これが当然の反応なのかもしれない。 だから、俺はこれからブイゼルに仲間と共に生きる喜びを教なくてはならない。 それが俺にしてやれる彼への最善の行いであり、義務である。そう思った。 「…じゃ、改めてこれからよろしくな、ブイゼル」 「うん。こちらこそよろしく、リュウマ、ポニータ」 「うん! 今日からよろしくねっ!」 …こうしてまた一人新しい仲間を迎えた俺達一行。 まだ旅に出て数日しか経っていないが、かなり内容の濃い旅路だと思う。 まぁ、これからも多分こんな事がたくさん起こるのだろうが。 …取りあえず、もういい加減道草とかしないで普通に旅がしたい。 それが、まだまだ続くであろう旅に向けて俺が願う事である。 ~あとがき~ こんにちは、ポエルです。 前編と後編の2部に分けるとか言いながらこの有様です。ごめんなさい。 次はもっと短く纏められるよう努力します。多分。 …さて、今回は新入りブイゼルが仲間入りするまでの経緯を書かせてもらいました。 彼は幼い頃に両親を失い、生きる知識を教わらないまま取り残されたという設定ですが、 その知識の半分程度はラピに、その他は自力で習得してしまったという頭の良い子です。 それ故に普段は冷静で何事にも動じない大人しい性格ですが、もちろん欠点もあります。 ラピとしか関わりを持たなかったという時点で大体目星はつくとは思いますが…… では、いつもながらこのような作品を見ていただきありがとうございました! 今後もペースはともかく頑張りますのでよろしくお願いしますっ!
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「ここがシオンタウンか…」 『しずかなまちですね』 「で、あの大きな塔が萌えもんタワーかぁ…」 『『~~♪』』 俺の名前はリン、しがない萌えもんトレーナーだ。 姉さんのホウオウ、無口なユレイドル、アンノーン達(×1000)と旅をしている。 そんなこんなでシオンタウンまでやって来た訳だが… 「違います!!」 何か騒ぎが起こってるようだ… 「しかしね、実際に見た人が居る訳だし…」 「見間違いです!確かにおじいちゃんのお墓はタワーにありますけど、化けて出るような人じゃないです! そんなに言うなら調べてみればいいじゃないですか」 「それは山々なんだが…調べようにもなぁ…」 「どうしたんです?」 ただ見ていただけだったが、気になって話しかけてみた。 「あなたは?」 「ただの通りすがりの萌えもんトレーナですが…言い争っているように見えたので」 「あ…そう見えましたか…これは失礼を」 「それで…何を話していたんです?」 「外の方にお話するような話でもないんですが…まぁいいでしょう …最近、萌えもんタワーで幽霊騒ぎが起こっているんです」 「萌えもんタワーで? それって日常の事だって聞いたことがありますけど…」 萌えもんタワーには大量のゴースト萌えもん達が住んでおり、彼らのイタズラなどで日常的に幽霊が出るそうだが… 「まぁそうなんですが…今回は少し違いまして…」 「と、言うと?」 「今回目撃されたのが…フジ博士の幽霊なのです」 詳しい話はこうだ。 数日前、タワー最上階付近にてシオン住民が幽霊を見かけたそうだ。 そしてその幽霊の姿は、数年前亡くなり、遺言によりタワーの最上階に葬られたフジ老人―萌えもん研究家のフジ博士―に瓜二つだったらしい。 それを聞いた他の住民が調査をしようとした所、気がついたらタワーの入り口で倒れていたり、寒気がして引き返さざるを得なくなったりしたらしい。 その事を彼女―フジ博士の孫―にその事を知らせたところ、彼女が怒ってしまい、さっきの光景に繋がる。 「本当にフジ博士なのかを確認しようにも誰も辿り着けていなくて… しかも、日を追うごとに進める階層が低くなってきているんです」 「そうなんですか…」 「おじいちゃんは化けて出るとは思えないんです…でもそれを確認することもできなくて…」 「・・・・・」 「ねぇ、どうするの?」 姉さんが聞いてくるが…答えはきまっている。 「でしたら、俺が調べて来ましょうか?」 困っている人を放って置いてのうのうとしているような育て方を俺はされていないのだ。 そんな訳で萌えもんタワーに入ってみたわけだが… 「これは…」 「何か…ビリビリ来るね 人払い…かな?」 『あんまりいいきぶんはしないです・・・』 「~~~…」 これは入れないわけだ…タワー内部に人払いがかけられている。 普通の人は科学全般を信じきってるためにこう言う迷信的なものには弱くなってる…入れないのも当然か。 だが俺は腐っても神社の子、これ位なら… 落ち着いて、集中しながら、ゆっくりと… 「一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 布瑠部 由良由良止 布瑠部…」 体が軽くなるのを感じる、どうやら成功したみたいだ。 今の?まぁ軽いおまじないみたいなもんだ。 「さてと…行くか」 「えぇ…人払いまでして何をしているのか確かめに行かなきゃね」 『いやなきぶんもとれたし、いけますっ』 「~~~♪」 そのままの勢いのまま一気にタワーを駆け上がる。 途中で気がついたことだが、どうやらタワーの人払いは萌えもんにも影響しているらしい。 さっきからここに住んでいるはずのゴースト萌えもんたちを全く見かけていない。 本当に何をしているんだ… ―萌えもんタワー最上階― 今までの場所とは違い、少し狭い場所だ。 それ以外の道をさえぎるように墓石が並び、道のようになっている。 そしてその道の向こうには― 「誰ですか…? ここには入らないよう結界を張ったはずなんですが」 一人の女性がいた。 長く伸びる銀色の髪と赤い瞳 纏う服は濃い紫色のローブと三角帽子… 一般的な姿よりもかなり大人びているような気もするが…あれは萌えもん―ムウマージだ。 「人払いだけならよかったんだけどな…幽霊騒ぎはどうかと思うが」 「幽霊…? そうですか…」 「? 貴女じゃないの?」 「えぇ…私がしたのは人払いのみ。 幽霊騒ぎなど起こした覚えはありません」 「え…じゃあ…」 「恐らく目撃された幽霊というのは、正真正銘のフジ氏の霊でしょうね…私の邪魔をするために」 「何?」 そこで彼女の表情に気づく。 光を失ったかのような瞳―あれは何かに絶望した顔だ。 「萌えもん研究者として高名だったフジ氏が、何故こんな場所で眠っているか知っていますか?」 「…一応聞いたよ」 それはタワーに登る前。 「おじいちゃんは萌えもんの遺伝子研究においての先駆者でした。 しかしもう一つの顔もあった」 「顔…?」 フジ博士の孫に話を聞いたときの事。 「非合法組織の援助の下、ポケモンや人間を強制的に萌えもんにする研究をしていたんです」 「何だと!?」 それは衝撃的な言葉だった。 「萌えもんがかつてポケモンであったことは有名な学説です。 だが、『なぜ』は兎も角『どうやって』進化したかについては謎でした」 「そうね…でもそれは今でも謎のはず…」 「はい…ですが、おじいちゃんは非合法研究の末、萌えもん化に成功したんです」 「そんな事が…?」 「えぇ…その事はおじいちゃんの死後、遺品の整理の途中で出てきたコレで分かりました」 そう言って彼女が取り出したのは古ぼけたノート 「これはおじいちゃんの手記です。 これの記録によれば、ポケモンや人間を実験体として、一部完全とも言える成功体も完成したそうです…」 「完全…それは…」 「まぁ、大抵は知能だけだったり、見た目だけだったり…そんな萌えもんばかりだったそうですが」 逆にそれでは始末が悪い…無理やり実験体にされたポケモンや人間の事を考えると気分が悪くなる。 「では何でそんな研究者がこのシオンに…そして萌えもんタワーに葬られたんですか?」 「研究所はその後、とある萌えもんの暴走により崩壊し…そのとき初めて自分がした事の重さに気づいたそうです そして、死した萌えもんを弔うこの町に移住し、トレーナーに捨てられた萌えもんなどを引き取り 育てながら、毎日タワーの慰霊をしていました」 「懺悔…だったんでしょうね」 「えぇ…」 「それなら話が早いですね…彼が何をしたのか知っているのなら」 「…その口ぶりからすると…」 「えぇ、私はその実験体。 ベーズは人間、形はムウマージの『成功体』です」 普通よりも大人びた姿の答えがそこにあった。 「研究所崩壊後、私たちは混乱に乗じて逃げました。 そんな私たちの抱いた思いは一つでした―私たちをこんな姿にした人間に復讐を― まぁ、私はそんなことどうでも良かったんですが…仲間達の為に協力しました」 当然だろう…彼らは被害者だ。 だが、そんな萌えもんが居たことも、何か事件の話も聞かない。 「…復讐の準備を整え、始めようとしたときに仲間達は『崩壊』しました―比喩ではなく事実として 強引な実験で生み出された『失敗体』は寿命まで著しく短かったんです… 復讐を果たすことなく、仲間は次々病に倒れ―残ったのは私を含めた僅かな『成功体』のみとなりました…」 「そんな…」 「フジ氏はそんな私たちの事を知っていたようでした。 彼は知り合いを介して私たちの邪魔を何度もしてきましたし…」 「…フジ氏は自分の研究が広がることを恐れていました」 「あぁ…それも知っている。フジ博士の孫が持っていた手記に書かれていたらしい」 「彼は晩年、研究記録の最重要部分を除いたものを自らが信頼する人間に託しました」 「それなら…」 「しかし…その記録も盗難や遺産整理のゴタゴタでいくつかが闇に流れてしまっています。 そして…それと最重要部分が無くとも時間さえあれば…」 「強引な人造萌えもんが作れる…と?」 「えぇ…そうです。 そしてその最重要記録―それは、この墓石の中に隠してあるんです」 「な!?」 「まぁ、途方も無い時間がかかりますがね 最重要部分があればすぐでしょうが…普通は気づきにくい場所ですし、フジ氏の墓となれば人目にも付く。考えたものです」 「じゃあ、何でアンタはこんな事を?」 「…数週間前です。 私は手に入れた情報を元にとある研究施設を襲撃しました…」 何の話だろう…と思ったが…話の流れからするとまさか― 「えぇ、お察しのとおり、フジ氏の研究成果が一部漏れていたんです。 絶望しました…また私たちのような存在が生み出されるのかと… 見た目にも力でもヒトを超越してしまった体 かと言って萌えもんかといえばそうでもない…私たちは半端者なんです。どちらの場所でも生きられない」 「…」 「そんな私たちにとって、この世は地獄でした …いや、終わることの無い煉獄―罪の炎に焼かれ、復讐の炎を燃やし―そして半ばで命の炎を枯らし深淵へと落ちていく…」 彼女の言葉には深い悲しみがこもっている。 「そんな果て無き煉獄を上るのも…もう疲れてしまいました… せめて私たちのような存在が二度と生まれない事を願いますが…いつかは再び扉は開かれるでしょう… この場所の封も完全ではない…いつかは見つかってしまう…だから」 彼女は無線機を取り出し― 「作戦を開始してください」 そう言った。 「外に居る私の仲間に連絡しました。 数分後には仲間の砲撃でこの場所は瓦礫に埋もれるでしょう…」 「…アンタはどうする気だ?」 「…フジ氏の残したものを消し去ります 記録も、『私も』含めて全て」 そんなことだろうと思った…コイツはこの場所と一緒に最初から心中する気だったんだ。 人払いをして住民に被害が及ばないようにしてまで… 「煉獄の頂上には登りきることは出来ませんでしたが…せめてこの塔の上から天へと旅立ちたいと思います。 …急いでこの場から逃げてください…まだ多少の余裕はあります」 そう言って、ムウマージはさらに奥へと消えた。 「…姉さん」 「あの子を助けるのね」 「あぁ」 「ふふ…それでこそ私の弟よ!」 「まぁな、それに」 俺と姉さんは目を合わせつつ― 「「目の前の困ってる人を放ってのうのうとしていられる様な育てられ方(育て方)はしてないさ(わ)」」 声を合わせた。 「うんうん…私たちは先に降りているけど…気をつけてね」 「・・・・・」 「どうしたユレイドル?」 『・・・なにをいってもいくことぐらいは、もうわかっています・・・でも、ぶじにかえってきてください』 「あぁ、当たり前さ」 「何ですか、早く逃げないと危ないですよ」 ムウマージは最奥、フジ博士の墓石の前に居た。 「嫌だね。崩れるかもしれない階層にいるヤツを避難させないと」 「…何を考えているんです?」 「お前を連れて、逃げる」 「結構です、お帰りください」 「お前が降りるならな」 「…私はこの場で終わりにすると決めたんです…邪魔をしないでください」 ムウマージの目が鋭くなった― 「もし邪魔をするなら…って目だな」 「えぇ…」 一歩足を進める…彼女の掌が上がった。 「何故邪魔をするんです…フジ氏といい人間は…」 「なぁ」 「…何ですか」 「アンタ、人間の復讐なんてどうでもいいって言ってたけど、嘘だろ」 「何を言って…」 「アンタには見えていないからさ…人の想いってやつが」 彼女の言葉…そしてフジ博士の孫の話、それで彼が願った事がわかった。 「フジ博士はお前らに復讐をやめて欲しかったのさ、だから全力で邪魔をした」 「…身勝手ですね、生み出したのは向こうだと言うのに…」 「だから、さ。 折角自由の身になったんだ、自由に生きて欲しかった…親心だったのかもな」 「……何を今更」 「それにな…博士の孫から聞いた話なんだが…」 「おじいちゃんは…此処に着てからは寿命の研究をしていました」 「寿命の?」 「萌えもんは人間よりも遥かに長い寿命があります 萌えもんの遺伝子を調べて、寿命を延ばす研究をしていたのではないかと…」 「…その成果は?」 「目処は立っていたみたいです。でも完成前に…」 「そうですか…」 「な…何…を?」 「フジ博士は寿命の研究をしていた、おそらくお前の仲間を救うつもりだったんだろう」 「そんな…事…信じられるわけ」 ―突然の轟音― 「何だ!?」 「…始まった…みたいですね」 更に轟音― そして強烈な振動が始まる。 その揺れにより倒れ始める墓石…そして、フジ博士の墓石も…ん? 「墓石の下に…?」 「…え?」 ―もし、この文章を読んでいるのが私の以前の研究目当てであるなら… 諦めたまえ、私の手元に残していた記録は処分した。 そして、もし…もしもこれを読んでいるのが私の生み出したものであるのならば… この墓石の中に、萌えもん達の寿命を延ばすための研究データが入っている、持って行ってくれて構わない。 出来れば完全な物を渡したかったのだが…私の寿命のほうが足らなかったようだ。 このデータを役立てて欲しい…そして、出来るなら復讐などと言うことは考えず、キミ達が望むことをして欲しい。 無理やりに産み出しておいておこがましいかもしれない…だが、私は切にそれを願う 願わくば…私が産み出した子供たちに幸あらんことを フジ― 「な…」 「墓石の下か…隠し場所としてはいいかも知れなかったが、誰にも気づかれなかったみたいだな」 「わたし…たちは…?」 「随分と愛されてたみたいだな…」 ムウマージの中の何かが崩れるのが見えたような気がした。 ふらふらと足元がおぼつかなくなっている―っておい、この状況でこれは… その瞬間、ムウマージの近くの壁が吹っ飛び―その衝撃で彼女が外に投げ出された! 「っ!?」 「くそっ!!」 一気に駆け寄り、彼女をキャッチ…したはいいが俺も壁際だった。 「くっ…待ってろ、すぐに引き揚げてやる」 「…もういいです…離して下さい …これも罰です…このまま私も深淵で罪を償い…」 「っ馬鹿野郎!! 死んで罪が償えるとでも思ってんのか!? 償いたいと思ってんなら何が何でも生きやがれこの阿呆が!!」 …とは言うが…かなりキツい… ―しかし、無常にも― ―弱くなった足場が崩れて― ―二人そろって外へ…― 「「「~~~~~~!!!!!」」」 その瞬間、何かが纏わり付いて空中でキャッチされる。 そして、何かに絡め取られた。 「よっし、成功! もうちょっとだけ頑張って、すぐにこっちに戻るから~」 「「「~~~~!」」」 「・・・・・っ」 「頑張って!もうちょっと!」 見れば、被害が余り及んでいない少し下の階層で叫んでいるのは―姉さんだ。 どうやらこの事態を想定して、準備をしていたらしい。 よく見れば今浮いているのは、アンノーン達が必死に支えているから、巻きついているのはユレイドルの触手だ。 まぁ、何というか。 「めちゃめちゃだけど…助かったのかな?」 そう話しかけたが、ムウマージは返事をしない。 よく見ると― 「気絶してら…」 だけど…その表情には、さっきまでの暗いものは見えなかった。 この事件の結末は― タワー最上階は完全に崩壊。修復にはしばらくかかるそうだ。 幽霊についてはしばらくして住民が調べたところ、まったく見かけなかったということで、見間違いという結論が下された。 ムウマージの仲間は見つからなかった。 ムウマージ曰く「始めから逃げるよう指示した。行き先はわからない」だそうだ。 そして、そのムウマージは― 「さて、次の街はドコに行こうか?」 「そうねぇ…今度は西かな?」 『にしなら、ヤマブキシティでしょうか?』 「そうねぇ…迷うなぁ…」 「で、何で私が同行することに?」 俺たちの一行についていく事となった。 「文句言うなって…苦労して保護観察まで持っていったんだからな」 「それで貴方と一緒ですか…」 「まぁ言うな。それに俺としても… 壮大な自殺未遂やらかした女を放っておけなくてな」 その一言に、ムウマージの顔が赤くなり、慌てて帽子を下げて隠す。 「ま…まぁ、私の身柄を引き受けてくれたんですから、感謝しないといけませんかね… ともあれ…」 「よろしくお願いしますね、リン」 あとがき??? 長いよ…そして独自設定走りすぎだよ… ムウマージ、好きなんです(ぇ ウチのは一般的な『魔女っ娘』というよりは『魔女』ってイメージになってますが… さぁ次は…ユカルートかな?
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今日は楽しいハロウィンの夜。 とあるちびっこたちのハロウィンをお送りしましょう…… ~外伝・こんなかわいい子がトリックオアトリート~ 「うん、かわいいですよサバト。魔女の格好」 「なんで魔女なんですか、僕これでも男の子なのに……」 マッスグマの女性は褒めるが、彼は喜ばない。 当然だ。普通の少年ならば、女装姿など見られたくもない。 「もう、せっかくかわいいのに……もったいないでしょう、着飾らなきゃ」 「ならせめてミニスカートはやめてください!」 ましてや、思いっきりスカートなのである。超ミニの。下着が見えそうなほどの。 もちろんブルマをはかされているので見えないが。男ものか女ものか気になった人、教えないからね。 「え……今の時代オーソドックスな魔女なんてはやりませんよ……? ニーソをはいて絶対領域も確保しませんと……」 「やめてください! 僕は男の子なんですから……!」 悲鳴にも近い叫びだが、マッスグマは無視する。 「さ、どの色がいいでしょうかー……」 「聞いてるんですかーー!?」 どう考えても聞いていないが、それでも叫ばずにはいられなかった。 直後、少年にとっての最悪の事態になる。 「お兄ちゃん、着替え終わっ……た…………?」 「……あ……ジェイド…………」 ジグザグマの少女……彼の従妹が部屋に入ってきた。 先も言ったが、普通の少年は女装姿など見られたくもない。 「……見られた……見られてしまいました…………こんな姿を…………」 当然こうなる。 一方、兄と呼び親しんできた少年のこんな姿を見る羽目になった少女の方は。 「……サバト兄ちゃん……ボクより似合ってる……一応ボクも女の子なのに………」 逆に、こうなる。 彼女の母であるはずのマッスグマも、ニーソを選ぶのに夢中で気づいていない。 「やっぱり折角の細さですから、黒で強調するのが一番でしょうか……」 そんな小さな独り言すら鮮明に聞こえるほどの沈黙。 やがて、2人はどちらからともなく笑いだした。 「ふくく、くあははは……」 「あは、あはははは……」 はっきり言って不気味だ。 さすがのマッスグマも気づき、振り向く。 そこにあったのは、笑顔だった。 「ふはははは! いってきます!」 「きまーす!!」 「え、あ、いってらっしゃい……」 わずかな怯みと強い押しとで呆然と見送るマッスグマ。 けれど最後に、こう言うのは忘れなかった。 「まだニーソはいてないじゃないですか!!」 「トリックオアトリート!!」 バン! と大きな音とおもに扉を開け放つ。 その場にいた研究員達全員が振り返る。当然だ、変声期を迎えていない、よく通る声で宣言されたのだ。 なぜここでいうのかがわからない台詞を。 「おい、お前んとこのだろ。何とかしろよ」 ここは大木戸研究所。多くの研究員が日夜萌えもんの不思議を探求している場だ。 当然そこにハロウィンなどあるはずもない。なぜその合言葉が叫ばれるのかといえば。 「……アイツ、サバトになんて格好させてるんだ……」 マッスグマの夫にしてジグザグマ=ジェイドの父親であるバシャーモが、ここで働いているからである。 「むしろウィードゥーイングトリックナウ!?」 「まて、はやまるなはなせばわかる。……というかここでそれは冗談にならないからな。 ほら、これくらいしかやれないが、さっさと次の家に行け」 軽く親子漫才をかます2人。ついでにサバトもしっかりお菓子を受けとっている。 「さあ、次は大木戸邸だ!」 「合点兄貴! 姉貴?」 「もうどっちでもいい!」 「ならば姉貴!」 こちらでも気が抜ける会話をしながら、嵐のように去っていく子供たち。 バシャーモは手元に1つだけ残ったキャンディを見つめる。 「それ、奥さんが?」 「ああ……まったく用意周到な奴だ」 それを元通り、ズボンのポケットに戻す。 兄がサバトの格好を見たらどう思うかと心配しつつ、特にできることもないので作業に戻るバシャーモだった。 ちなみにその数分後。 「トリックオアトリート!」 「可愛いけど、もういい年なんだから大人しく家にこもってなさい。あとでたっぷり相手してあげるから」 「しょぼーん」 合法ロリ(人妻)が押しかけてきてたりする。 「……フミノリ、さすがに冷たいんじゃないのか」 「あとでたっぷり熱くなるからいいんだよ」 「ハナダジムまで! 超特急でだ!」 「おお、2人とも魔女っ子か。なるほど私の妙にもふもふした格好は空飛ぶ箒か」 「シャラップハリーアップ!」 駆け足でやってきた2人に対し、いつも通りの態度で迎え撃つドンカラスであったが、 異様な剣幕に思わず身構えてしまう。 それでもハナダまで2人を送り届けるのが彼女の役目であるため、翼を大きく広げる。 なぜか持っていた杖を前方に向けながら飛ぶのは、自らを箒に見立てた遊び心だろうか。 ともあれ、さして時間もかけずにハナダへ到着した一行。 「まずは母さんのところだ!」 「オーライ姉貴ぃ!」 すかさず飛び降りるサバト達。それも飛び込み前転から前回り受け身で走り出すという技を披露しながら。 綺麗なシンメトリーを描く2つの背中を見送るドンカラスは、 「しかし、暖かいなこの格好は。もしや外で待つ私を案じて、という意味もあったのだろうか?」 などと考察していた。 「トリック!」 「オア・トリートォ!」 ハイテンションに叫びながら開けたドアの先には、1人のクロバット。 「あらサバト、いらっしゃい……ってどうしたのその格好。またあの子に着せ替え人形させられたのかしら?」 「はいです。サバトはいやだって言ったのに、お姉ちゃんは得意の腕力でサバトをひんむくとあれよあれよという間に…… まったく何しやがるです、お姉ちゃんは……どうにかしてくださいですお母さん」 「若干無理があるけど翠な口調になっちゃうくらい、怒ってるのね……わかったわ、あの人に何とかしてもらいましょ。 とりあえず、私の分のお菓子もあの人から貰って頂戴。ジェイドもね」 ジェイドが入る隙を全く見せずに母子のやりとりは終わり、ぽいっと部屋から放り出された。 テンションフォルティッシモな2人は言われたとおり、真っ直ぐにサバトが父の居場所へ向かう。 そして今まで通り勢いよくドアを開いた。 「トリックオアトリートォ!!」 「アイプレゼンチュートリィック!!」 そしてそれ以上のハイテンションな反撃を受けた。 「「「うわあああああああああ!!?」」」 見事な三重唱はサバト、その父、ジェイドの3人のものである。 子供2人が絶叫したのは、サバト父の格好にである。 ジャック・O・ランタンというカボチャの飾り、あれのでっかいのを頭にかぶっていたのである。 なるほど確かに悪戯かお菓子かと言っているのだから悪戯をくれてやるのもおかしくはない。 問題はサバト父の方、彼もやはりサバトの格好に悲鳴を上げた。 「なんで魔女の格好しているんだい!? 可愛すぎて絶対誰かがさらっていくと思ったから男の子の格好させてたのに!」 「お父さん、僕は非常に悲しいです! あなたまで僕をそんな風に見てたんですね!?」 「違う! これは純粋な親心だ!!」 「僕に女装させない理由が“本人が嫌がっているから”じゃない時点で絶対違います!!」 カボチャを投げ捨てて(ぶつかって砕け散る前にハッサムがどこからともなく表れて受け止めていた)叫ぶサバト父。 そこには普段のジムトレーナーとしての威厳とかその辺は全くなかった。 あんまり驚いて尻もちをついていたジェイドがようやくミニスカートの裾を抑えるころには、 「よーしわかった、あの子にはお仕置きが必要なようだということがよくわかった。うむ。 さて、それでは改めてハロウィンと行こうじゃないか。……あれ、カボチャどこ行った」 「旦那、ここに」 「おお、すまないね。これ二重底の下底くりぬいてるから、かぶり物でありながら上に収納スペースがあってね…… あったあった。はい、2人とも。ハッピーハロウィーン!」 などと、何事もなかったかのようにお菓子を渡してきた。 すっかり毒気を抜かれた2人は、それを受け取るととぼとぼと帰って行った。 「……ところでハナダのイレギュラーさん?」 「なんだい現世のイレギュラーさん」 その背中が見えなくなったあたりで、天井から逆さまにヨノワールが降りてきた。 「先ほどのサバト君、しっかりビデオに撮っておきましたよ。フィルム式の写真もしっかり」 「……くれぐれも本人に見つからないように鑑賞用と保管用で2つ、コピーを取っておくように」 「布教用はいらないんですか?」 「何を聞いていたんだい? あんな格好のサバトを見せたら血迷った誰かが手を出すにきまってる」 「なるほど、絶妙な親心ですね」 この会話を聞いたハッサムは、カメールにぽんと肩を叩かれた。 その後2人で酒を飲み明かしたそうな。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ~あとがき~ ハロウィンなので書いてみました。 お祭り騒ぎだわっしょいしょい!(意味不明 空気な人がいるけど気にしない。 ところで。 ジャック「・O・」ランタン これ顔に見えるよね↑。 以上吸血の人でした。 後日談というかなんというか。 『知らなかったよ、君がそんなに娘がほしかっただなんて……』 「…………ハイ?」 ハロウィンの夜、子供たちも寝静まった頃に鳴った電話。 マスターからのそれは、予想の斜め45度上を言っており、理解が及ばない。 「あの。娘はもうジェイドがいるんですけど……」 『ああ、もうしわけない。すでにあいつには報告してある。これはその報告だ。 さ、今夜はゆっくりお楽しみ』 「え……ちょ、ご主人様? ご主人様ぁ!?」 そのまま一方的に切られてしまい、なにがなんだからわからなかった。 そこへ響く、ドアの開く音。 振り返れば、そこには彼女の夫がたっていた。なぜか白衣のままで。 「兄さんから聞いたよ……そんなにほしかったなら言ってくれればよかったのに……」 「あの……あなた? もう娘はいるでしょう?」 いやな予感を覚えながら、それでも一応反論するマッスグマ。 「なに、ただのつまらない行為にするつもりはない。理論的に科学的に効率的に。 ……そしてアブノーマルにしようじゃないか」 「……まさか、その白衣ってそういう意味……?」 沈黙。それは一瞬だったが、それは彼女が自身の疑問が正しいと知るに十分であり── ──そして彼が、彼女を捕まえるにも十分だった。 「──いただきます」 「うう……ゆっくり、めしあがれ……」